創業融資を受ける時には税理士に依頼した方が良い理由やメリットとは?
創業融資を受けるために税理士の存在は必須ではありませんが、顧問税理士がいることで金融機関などの信頼度は高まります。
そこで今回は、創業融資を受ける時には税理士に依頼した方が良い理由やメリットについて解説していきます。
創業融資時に税理士に依頼する理由やメリットとは?
金融機関などが行う融資は、申込時に提出するべき書類が多いことが特徴です。書類の多さや、創業計画書の書き方のポイントなど、審査に重要な点を抑えながら準備や作成をするのは大変なものでもあります。そのため、融資に詳しい専門家である”税理士”や”公認会計士”、国が認めた公的支援機関の”認定支援機関”等が書類作成のサポートをすることもあります。税理士のサポートを受けながら書類を作成することで、融資を受けられる可能性も高まるというのが、創業融資時に税理士に依頼する理由になります。
そして創業融資に詳しい税理士や専門家に依頼することで事業者が受けるメリットは以下になります。
融資でわからないことを質問できる
初めての融資では分からないことや準備すべき書類など、把握できていないことが多いですが、融資に特化している専門家であれば、融資での疑問点や準備すべき書類を把握していることもあって、質問したいときに聞くことができます。
融資に必要な書類を作成してくれる
融資申込に必要な借入申込書や創業計画書は、審査に影響する重要な書類です。会社概要や開業への思いは事業者自身が整理をしてまとめることができますが、数字などの具体的な中身は、説得力のある数字でまとめる必要があります。
その点、融資の経験がある税理士は、審査が通りやすくなるように書き方のポイントを抑えながら作成をしてくれます。その分事業者は、事業に専念することが出来るため、メリットとなります。
自分では気づかない事業の問題点を指摘し、経営相談もできる
事業者しか分からない資金の流れや会社概要などで、審査に通ることが難しいと感じる部分があれば、指摘をしてくれます。自身では問題ないと思っていても、融資担当者からしたら疑問に思う点などを分かっているため、教えてくれ、面談前に話す内容などを準備して臨むことが出来ます。
また、融資に限らず、経営での問題点があれば税理士に相談することでアドバイスをもらえることや、経営相談を行うことができます。多くの事業者や企業と関りを持ち、財務の流れに詳しい税理士は、問題点についても理解をしやすい特徴があります。
融資担当者の選択・面談日程の調整や書類の送付などをしてくれる
融資を何度も経験したことのある税理士であれば、親交のある日本政策金融公庫の融資担当者もいます。また、何度も接点のある融資担当者と税理士であれば、お互いの業務状況や多忙な時期等を把握していることもあって、面談日程の調整などでも話がスムーズに進みやすく、連絡も取りやすいというメリットがあります。書類の送付に関しても、送付漏れがなく再提出などで時間を有することもありません。
融資担当者とのパイプがある
融資の実績が豊富な税理士であれば、融資担当者と顔見知りになっていることがあります。融資担当者と何度か仕事をしたことがあれば、各担当者の目の付け所を押さえた上で、審査に通りやすい書類を作成することが可能になります。まさに、融資担当者とのパイプを持っていることの強みです。また、担当者とのコミュニケーションも円滑に進めていくことができるため、心証も良くなります。信頼できる専門家の指導とサポートを受けていることが担当者に伝われば、融資の成功率もアップするといえるでしょう。
税理士が一緒に対応する事に対して安心感がある
一般的には、融資をする側の金融機関は、融資を希望する事業主の決算書や試算表を見るときに、税理士が顧問を務めていれば一定の信頼を置いています。また、融資をおこなった後においても、税理士が顧問を務めていることで、その後も決算書や試算表を定期的に見せてもらえるという安心感があります。
融資面談に同席してくれる
いざ面談となると、緊張してしまい、話す内容がまとまらなくなってしまったり、肝心なことを伝え忘れたりなどの事態も無くはありません。実際に面談を行うのは、融資担当者と事業者ですが、事業状況を知っている税理士が面談に同席してくれるだけでも、気持ちに余裕ができ、安心して面談を終えることができます。
創業融資に強い税理士の見分け方とは?
いくら税理士がいる事で融資の借り入れしやすいといっても、融資を行ったことがない税理士に依頼しては借り入れができなくなる可能性もあります。
主に、融資に強い税理士の見分け方は以下になります。
- 融資の実績が多い
- 経営革新等支援機関(認定支援機関)であるか
- 密接に繋がっている金融機関がある
- 融資申請前の金融機関への交渉ができるか
- 融資面談の同席をしているか
詳しくは以下の記事で記載していますので、参考にしてみて下さい。
(参考記事)『創業融資』に強い税理士の見分け方とは?
創業融資を税理士に依頼する際の報酬・手数料相場は?
では、創業融資を税理士に依頼した場合、報酬体系や手数料の相場はどのようになっているのでしょうか。起業時には色々と資金が必要になってくるため、できるだけお財布に優しい税理士を選びたいところです。創業融資業務を行っている税理士に支払う報酬には、大きく分けて成功報酬と非成功報酬とがあります。
成功報酬
成功報酬とは字の通り、融資の成功に応じて発生する報酬です。融資の審査に落ちた場合、報酬は発生しません。報酬相場は融資額の2~4%ほどです。
例えば、1,000万円の融資を受けた場合、税理士に支払う報酬は20万円~40万円となります。あくまでも融資が成功した場合のみ報酬を払う必要があるため、融資がおりなかったときのリスクを抑えることができます。起業時には無駄な支出を可能な限り抑えたいというのが本音だと思います。その点では、成功報酬型の報酬体系を採用している税理士に依頼することにはメリットがあるといえます。なお、成功報酬型の報酬体系をとっている税理士の中には、着手金と組み合わせて、その分成功報酬のパーセントを低くしている税理士もいます。着手金の相場は数万円ですが、融資が成功しなかったとしても返ってこないので、この点は注意が必要です。
非成功報酬
一方、非成功報酬型の報酬体系をとっている税理士もいます。非成功報酬型には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
単価型
創業計画書作成、その他の融資書類作成、面談のアドバイスなどの1つ1つの業務に単価が設定されている報酬体系です。相場は、1つの業務につき3~5万円とされていますが、事務所によって様々です。創業計画書作成だけで10万円前後という事務所もありました。もし、融資に自信があり、創業計画書だけ税理士に作成してもらえれば大丈夫というような状況でしたら、必要な業務だけ依頼して全体にかかる費用を抑えることもできます。
顧問契約型
最近、ホームページ上で多く見られる創業融資支援無料と謳っている税理士事務所のほとんどは、この顧問契約型の報酬体系を採用しています。顧問契約を締結することを条件に、創業融資に関わる業務は無料とする報酬体系です。顧問契約の相場は、少なくとも月額1万円~、決算月には別途10万円~費用がかかります。これらの顧問料を毎月支払っていく必要があります。
創業融資の報酬が無料の場合は顧問契約が必要になる!?
創業融資の報酬無料の文言を見かけたときは、顧問契約料が幾らになるのかを事前にしっかり計算しておく必要があります。計算してみると、意外と費用がかかっていたという場合があるからです。
例えば、1,000万円の融資が成功した場合に、成功報酬型の税理士と顧問契約型の税理士に支払う報酬を比べて考えてみます。成功報酬3%の税理士事務所の場合、報酬は30万円となります。では、月額1万5,000円、決算月15万円の顧問契約型の税理士事務所に依頼した場合はいくらになるのでしょうか。この場合、創業融資支援の報酬は0円ですが、契約後1年間で33万円の顧問料がかかります。その後も契約を継続していく限り、毎月顧問料を払い続ける必要があります。
創業融資支援が無料であることを条件に、一定年数以上の顧問契約が必要な税理士事務所もあります。このように、創業融資支援の報酬は無料だったものの、結果として、顧問契約を支払っているうちに、予想以上の金額がかかってしまっていたというケースもありえます。それで、顧問契約型の税理士に依頼するときは、長期的なお付き合いを前提に契約しても良いかどうかを慎重に考えていく必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、融資を受ける時には税理士に依頼した方が良い理由について解説しました。
創業融資を税理士に依頼することによって、融資の成功率をアップさせつつ、本業の準備に専念することができます。また創業融資をきっかけにして、信頼できる税理士に出会うことができたなら一石二鳥です。
創業融資のプロである税理士の力も上手に活用しながら、資金調達のハードルをクリアしていってください。