銀行の融資に必要?試算表について解説
決算書類作成の元となる試算表は、決算前に自社の経営状況をチェックできる重要な経理書類です。
今回は、試算表について解説していきます。
試算表とは?
試算表とは、総勘定元帳へ正しく記帳がされたのかをチェックするために作る計算表です。決算書類を作成する前段階の集計表と覚えておきましょう。決算書が12ヶ月分の集計であるのに対して、試算表というのは途中経過、例えば6ヶ月目や9ヶ月目までの集計表になります。
試算表を作成する目的の1つは、仕訳ミスや転記ミスを見つけることです。仕訳帳と総勘定元帳のいずれかに誤りが含まれている場合、試算表の数値が合わなくなります。また、試算表を見れば貸借対照表・損益計算書のデータを確認できるのもメリットです。貸借対照表と損益計算書は試算表を基に作られる資料であるため、試算表を見ればその2つを確認したことになります。
そして試算表には、以下の3種類があります。
合計試算表
合計試算表とは、「売上」「仕入」などの項目ごとに、「増加」と「減少」の合計を記入した試算表のことを言います。項目毎に、「現金が増加した場合は借方に記載」「借入金が増加した場合は貸方に記載」などルールはありますが、それぞれの項目を一覧化したときに、合計をそのまま記載した数字として覚えておくといいでしょう。合計試算表では、一定期間において、会社が取引した金額の合計がわかります。
残高試算表
残高試算表とは、「売上」「仕入」などの項目ごとに、「増加」と「減少」を計算し、残高を記入した試算表のことを言います。上記の例の通り、各項目で左右のどちらかにしか数字が入っていないことが分かります。例えば現金の場合、合計試算表では「借方900貸方350」と記載されていました。借方>貸方で、差は550あります。つまり、残高試算表では「借方550」と記載されます。残高試算表では、会社の損益状態が分かります。
合計残高試算表
合計残高試算表とは、「売上」「仕入」などの項目ごとに、「合計」と「残高」の両方を記入した試算表のことを言います。合計試算表の情報も残高試算表の情報も網羅しているため、全体的な把握に使われます。しかし、作るのに一番時間もかかります。
それぞれ特徴は異なりますが、借方と貸方の数値が最終的に一致することは共通しており、一致しなかった場合は何らかのミスがあったと判断できます。
試算表を作成する時期
試算表を作る時期は会社によってさまざまです。決算前に一度だけ試算表を作成する会社、取引の多さによって月ごと、週ごとに試算表を作る会社などがありますが、早めに間違いに気づくためには、こまめに試算表を作り確かめるとよいでしょう。
また、試算表の主な目的は総勘定元帳の誤りを発見することですが、月次試算表を作ることで毎月のお金の流れを確認できるというメリットもあります。毎月の月次試算表をまとめることで、前月、前々月などのものと比べて、売上高、利益などの月々の変化をみることができます。
試算表が必要な理由とは?
試算表は、仕訳や転記、計算上のミスなどがないかを確かめるために使われます。しかし、会社にとって、試算表の必要な理由はそれだけではありません。以下でも使うことが出来ます。
決算書の作成
試算表は、毎月や毎年などの任意の一定期間で作成しますが、その一定期間の資産や負債、売上や経費、利益などが記載され、1年間の試算表から決算書を作成することができます。
銀行から融資
銀行に融資を申し込む際は、きちんと返済能力があるということを証明する書類が必要です。通常数年分の決算書を提出しますが、決算期から時間が経っている場合現在の経営状態を伝えるために試算表が必要になります。年に一度しか作成しない決算書よりも、定期的に提出する試算表の方がタイムリーに会社の経営状態を把握することができるのです。
経営方針や改善
試算表は会社の経営方針や改善にも役立ちます。損益計算書や貸借対照表といった決算書は年に一度しか作成しませんが、試算表は会社で芳しくない勘定科目があった場合、早期に対策を打つことが可能になるのです。
まとめ
試算表は決算書を作成する前に作成する集計表です。「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3種類があり、それぞれ作り方や特徴が異なります。
試算表をこまめに作成して仕訳帳から総勘定元帳への転記ミスがないかをチェックすることが正しい決算書を作成するためには不可欠です。銀行から融資を受けるため、会社の経営状況を見直すためにも試算表を作りましょう。