【経営者必見!】キャリアアップ助成金について解説
国が非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進させるために設けられている「キャリアアップ助成金」をご存知でしょうか?
今回は、キャリアアップ助成金について解説していきます。
そもそも助成金とは?
助成金は、企業や民間団体、個人事業主などに対して国の政策目標を達成するために交付されるお金です。主に厚生労働省が管轄しているものが多く、他に地方自治体や公的団体が独自に実施している制度もあります。
雇用関連の内容が多く、案件に細かな規定はありますが、要件に満たせば必ず支給されます。返済不要ですが、後払い制で、着金までに1年以上かかります。
- 厚生労働省が管轄しているものが多い
- 条件が合えば必ず支給される
- 後払い制で、着金までに1年以上かかる
- 返済義務なし
キャリアアップ助成金とは?
「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者(有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など)の企業内でのキャリアアップを促進するための制度です。労働者の正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して、国から助成金が支給されます。
キャリアアップ助成金制度ができた背景については、国がこの制度を通じて、労働者の意欲や能力の向上、事業の生産性向上、優秀な人材の確保を実現させる狙いがあります。
キャリアアップ助成金のコース
改善や改定などをする内容によって、以下7つのコースがあります。
- ①正社員化コース
- ②賃金規定等改定コース
- ③健康診断制度コース
- ④賃金規定等共通化コース
- ⑤諸手当制度共通化コース
- ⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- ⑦短時間労働者労働時間延長コース
就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成される。
すべてまたは雇用形態別や職種別など一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に助成される。
有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成される。
労働協約または就業規則の定めるところにより、その雇用する有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成される。
労働協約または就業規則の定めるところにより、その雇用する有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合に助成される。
労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施する事業主が、雇用する有期契約労働者等について、当該措置により新たに被保険者とし、当該有期契約労働者等の基本給を増額した場合に助成される。
雇用する有期契約労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長または週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースの実施により処遇の改善を図り、当該措置により当該有期契約労働者等を社会保険の被保険者とした場合に助成される。
支給金額や詳細など、厚生労働省のパンフレット(キャリアアップ助成金のご案内)からご確認ください。
キャリアアップ助成金の受給要件
キャリアアップ助成金の受給要件については、まずいかの中小企業事業主であることとなっています。
資本金もしくは常時雇用している従業員の数により判定しています。またこの常時雇用されている従業員、労働者の数は2か月以上雇用されている人数になります。
その他に支給要件として全コース共通の要件がこちらです。
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主
- 雇用保険適用事業所ごとに対象労働者に対してキャリアアップ計画を作成し管轄労働局庁の受給資格の認定をうけた事業主であること
- 対象労働者に対する賃金の支払い状況を明らかする書類を整備していること
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
- 雇用保険適用の事業所であるということが一番のポイントですが、どうじにキャリアアップ管理者の設置とそれに対しての計画および計画の実行の有無が大切になってきます。
キャリアアップ助成金の支給までの流れ
キャリアアップ助成金の支給までの大まかな流れは、キャリアアップ計画の作成を行い担当労働局もしくはハローワークへに計画を提出します。その後、正社員化コースかそれ以外でフローが多少ことなりますが、正社員化コースの場合は就業規則等の改定を転換規定がない場合に行います。その後、就業規則等に基づき正規雇用へと転換し、半年の賃金を支払います。(※正社員化後に5%以上の賃金増額がある必要があります。)約半年後に支給申請を労働局に行い審査され支給が行われます。
処遇等の改善関連の他コースは、規定の取組を行い半年間の賃金の支払いが行われた後に支給申請が行われます。
- キャリアアップ計画の作成
- 労働局・ハローワークへの提出・許可をもらう
- 就業規則等の変更および周知
- 転換後半年間の賃金の支払い(5%要件)
- 支給申請
キャリアアップ助成金における注意点
それぞれのコースにおいて、さまざまな要件がありますが、以下の点に注意しなければ不支給となるので注意しておきましょう。
- 実地調査等への協力:支給決定後に帳簿等の確認を求める場合があります。
- 提出書類の差し替えや訂正はできません
- 申請書類に疑義がある場合に該当地区労働局長が指定した期日までに書類の追加提出・補正
- 不正受給があった事業者は5年以内は助成金は受給できません
- 不正が発覚した場合には助成金を返還、なお受給日の翌日から返還終了までの期間の延滞金および返還額の20%が違約金として課せられます。
- 審査に時間がかかる場合があります
- 支給決定後5年間保存している必要があります。
2つのコースの要件を満たしていたとしても1つしか支給されないことがありますといった注意事項がございますので注意してください。特に不正受給に関しての罰則は厳しく、延滞料金や違約金だけでなく、申請代理人にもその変換の連帯責務が科せられます。
まとめ
キャリアアップをサポートし、企業・労働者ともに働きやすい環境を整える上で「キャリアアップ助成金」は重要な助成金となりえます。そのため、「キャリアアップ助成金」について正しく理解しておくことはとても大切です。そしてこの制度はしばしば改定され、要件についても細かな変更が行われています。活用を考える上では、常に最新情報をチェックするようにしましょう。
「キャリアアップ助成金」を実際に活用するためには、計画管理や届出、申請手続きなど手間がかかることもたくさんあります。手続きに不備があると申請が却下されてしまうこともあるので注意が必要です。人材を育成し事業を大きく成長させていくためにも、「キャリアアップ助成金」を正しく理解し、必要に応じて正しく活用してみましょう。
そして、自分自身で申請や書類作成などに不安がある方は、専門家(社会保険労務士など)に相談・依頼するのも得策です。