起業・開業時に使える補助金「小規模事業者持続化補助金」とは?
起業・開業まもない経営者が頭を悩ませるのが、新規顧客の獲得ではないでしょうか。どれだけ良い商品・サービスを提供する用意ができていても、顧客に届かなければ売上がたたず、経営は成り立ちません。
しかし、新規顧客を獲得する為にはコストがかかります。チラシの配布やWEB集客、広告など、資金的に余裕がない場合には痛い支出となるでしょう。こうした経営における資金的な課題には「小規模事業者持続化補助金」の活用が有効になります。
今回は、小規模事業者持続化補助金について解説していきます。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、商工会や商工会議所の支援を受けながら、事業計画書を作成し申請します。採択をされると、通常枠で50万円、一定の要件を満たした場合に最大250万円の補助金がもらえる可能性がある制度です。
「小規模事業者」とは、従業員数の少ない会社や個人事業主のことです。創業間もない会社、個人事業主の多くは、一般的に従業員数が少ないと思います。そのため、創業者のほとんどの方がこの補助金に申し込めます。
- 販路拡大を目的とした投資が補助金の対象になる
- 補助金が支払われるのは補助事業が完了してから
- 補助金をもらうことが目的ではない
「小規模事業者持続化補助金」対象となる方の条件
補助金に申し込める方の主な条件は3つになります。
①補助金を申し込む時点で、すでに創業している
創業とは、法人として会社を設立していること、個人事業主として税務署に開業届を提出していることです。創業する「予定」という方は申し込むことができません。応募提出書類として、会社法人の場合は「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」を、個人事業主の場合は税務署に提出した「開業届」を求められているからです。
②小規模事業者に該当すること
「小規模事業者持続化補助金」は、従業員数が少ない事業者向けの制度です。業種によって定められている従業員数の要件を満たした事業者が対象で、個人事業主でも構いません。ただし、申請書類に開業届(個人事業主)が必要になります。
■対象事業者の分類と常時使用する従業員数
従業員とは、勤務されている方のうち、会社役員や個人事業主、専従者従業員以外の方々です。短期アルバイトやパートの方は人数に含まれませんが、勤務状況によっては含まれる場合があります。
③商工会議所または商工会の支援を受ける
申し込むにあたっては、最寄りの商工会議所または商工会の相談員から助言、支援を受けて経営計画を作成し、支援を受けた証明となる書類をもらう必要があります。
「小規模事業者持続化補助金」補助金額
例えば、通常枠の場合使った経費が60万円だったとしたら、補助率は60万円×3分の2=40万円となります。補助金額の範囲内なので全額受けることができます。使った経費が90万円だったとしたら、補助率は90万円×3分の2=60万円となります。補助金額の上限50万円を超えてしまうので全額受けることはできず、50万円までとなります。
「小規模事業者持続化補助金」対象経費
以下の条件をすべて満たす経費が対象です。
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 交付決定日以降に取引が発生し、対象期間中に支払が完了した経費
- 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
「小規模事業者持続化補助金」の対象となる費用
補助金の対象となる費用は、策定した経営計画に基づいて実施する「販路開拓等の取り組み」および、販路開拓の取り組みとあわせて進める「業務効率化(生産性向上)の取り組み」が対象です。具体的な取り組み事例は以下の通りです。
- ①機械装置等費、②広報費、➂ウェブサイト関連費、➃展示会等出展費、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦資料購入費⑧借料、⑨設備処分費、⑩委託費・外注費
販路開拓等(生産性向上)の取組について
- 【①機械装置等費】新商品を陳列するための棚の購入
- 【②広報費】新たな販促用チラシの作成、送付
- 【②広報費】チラシ配り、専門雑での広告掲載
- 【②広報費】新たな販促品の調達、配布
- 【➂ウェブサイト関連費】ネット販売システムの構築
- 【➂ウェブサイト関連費】事業に特化したHPの作成
- 【➃展示会出展費】国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
- 【⑥新商品開発費】新商品の試作品開発
- 【⑦資料購入費】新商品の開発にあたって必要な図書の購入
- 【⑧借料】事業で活用する資材のリース・レンタル料
- 【⑩委託費・外注費】店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)
業務効率化(生産性向上)の取組について
- 【⑩委託費・外注費】従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装
「IT利活用」の取組事例イメージ
- 【①機械装置等費】新規顧客の拡大に向けて新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する
- 【①機械装置等費】新規顧客の拡大に向けて新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する
- 【①機械装置等費】新規顧客の開拓による顧客増加に対応するために新たにPOSレジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する
- 【①機械装置等費】新規顧客の開拓による顧客増加に対応するために新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する
まとめ
「小規模事業者持続化補助金」は販路を開拓するための投資に活用できる補助金ですので、新規客や既存客への販売促進、販路開拓を予定している事業者にとっては、補助金を受けるメリットがあります。
50~250万円という金額が多いか少ないかは事業者それぞれですけれども、これを得るメリットと申込書類準備にかかる負担、採択可能性、採択後の事務負担デメリットを比較して申し込むかどうか、判断する良いでしょう。
