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飲食店が取り組みたい節税対策について解説


飲食店経営を継続させるためには売り上げを伸ばすだけではなく、売り上げの中からどれだけ利益を確保できるかがとても重要になります。そして飲食店は利益が少なくなりがちなので無駄な税金を抑え、手元に多くのお金を残さなければいけません。当然、売上の除外などの脱税行為をするのではなく、合法的な節税策を積極的に行う必要があります。

今回は、飲食店が取り組みたい節税対策について解説していきます。

飲食店経営者が把握しておくべき税金について

経営者として事業を続けていくためには事業をすることによってどのような税金がかかるのかをしっかりと把握しておくことも節税をするためには大切です。

個人事業主として飲食店経営をしている場合

個人事業主として飲食店を経営した場合は、所得税、住民税、消費税、個人事業税などが必要になります。

所得税は会社員の人でも支払うこととなっていますが、労働や売買などによって一定以上の利益を得た場合にかかる税金です。住民税は住んでいる都道府県に対して支払うこととなる税金で住んでいる場所によって住民税は異なります。個人事業税は個人で事業を経営している人に対してかかる税金ですが、事業所得が290万円以下の場合、個人事業税は免除となります。また、個人事業主の場合は消費税も支払うこととなります。所得税は赤字の時には免除となりますが、消費税に関しては100万円以上の取引があった場合、赤字でも支払わなければいけないため注意が必要です。

法人として飲食店経営をしている場合

一方、会社を設立するといろいろと細かい税金を支払うことになりますが、特に押さえておきたいのが法人税、法人事業税、消費税、法人住民税です。

法人税は会社が事業をし、所得を得た際に支払うこととなる、個人事業主でいえば所得税にあたる税金です。ちなみに会社として経営していれば基本的に所得税は支払う必要がありませんが、会社の売り上げから社長の給料を支払っている場合は社長の給料に対して所得税がかかります。また、住民税と同様にその会社を経営している都道府県に対して法人住民税も支払うこととなっています。

法人事業税は個人事業主が支払う税金のうち、個人事業税に当たる税金です。そして、事業を行う際には顧客との取引が必ず発生しるため、個人事業主と同様に消費税も支払う必要があります。

飲食店の節税対策のポイントとは?

飲食店独自の節税対策としては経費となるものを正しく理解し、できるだけ詳細に確定申告の際に報告するのが最も確実です。飲食店が経費として計上できるものの中には意外なものが経費として認められることが多いです。飲食店が節税をするためには一年間でどのような出費があったかをまとめ、個別に経費として計上できないかチェックしていくことが大切です。

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飲食店の節税対策

ここからは、具体的に飲食店の節税対策をお知らせします。

店舗造作の工事明細をこまかく作ってもらう

これの多くは、飲食店開業前の作業になりますが、工事明細はできるだけ詳細のものを作成してもらうよう、あらかじめ業者に依頼しておきましょう。よく内装業者から「○○工事一式 1,000万円」という工事明細というケースがあります。 これはドンブリ勘定もいいところで、税務以前のコスト管理の問題火と思いますが、 とにかく税務上は細かく明細を出してもらうことが節税の王道となります。

例えば、内装工事に含まれる店の装飾品や厨房設備に含まれる調理器具などは、1つで30万円未満であれば、即時に経費にできるのですが、これがまとめて、内装工事500万円とか、厨房設備一式100万円などとなっていると、減価償却の形で長期に少しずつしか経費にならないことになり、この間余計な税金を支払う結果となるのです。また、照明設備の工事でもまとめてでなく、照明器具部分と電気設備工事部分を分けてバランスシートにのせておくと、 数年後の照明取替えの時に電気配線部分は残し、取り替えた照明器具部分の未償却部分をいっぺんに経費にすることもできます。

交際費を経費に計上する

まず、誰でも最初に思いつくのは、交際費を経費にすることでしょう。飲食店のオーナーともなると、お客さんや取引先や飲食仲間と飲みに機会も珍しくありません。そういう場面では、普段お世話になっている手前、飲食代をおごったり、多めに出すことが多いと思います。そういった仕事での付き合いの上の飲食代は積極的に経費計上することは、節税につながります。領収書やレシートを取っておきましょう。ちなみに、クレジットカードで支払う場合は、カードの履歴に残るのでレシートが不要になります。

しかし、だからといって「経費になるから飲みに行こう」と仕事と関係のない経費は、節税ではなく脱税です。また、飲みにいくことで経費計上したとしても、手元のキャッシュが減ってしまいますので、そもそも節税するよりも手持ちのお金が減ってしまうため、節税する意味がなくなります。このような、むやみやたらの交際費の経費計上は意味がありません。

小規模企業共済に入る

保険に入ることで、節税する方もいますが控除の限度額が、「生命保険」「個人年金」「介護医療保険」の3つの最大額を合計しても年間12万円の控除にしかなりません。しかし、小規模企業の事業者、経営者・役員向けに廃業・退職時のために積み立てる保険があります。それが「小規模企業共済」です。掛け金は月額1000円~7万円の範囲(500円単位)で自由に設定できます。

しかも、掛け金が全額控除することができるので、年間最大84万円(7万円×12カ月)の控除になります!事業所得の多い飲食店のオーナーは検討しても良いでしょう。しかも、その積立金は、途中解約しても全額返金されるので、損をすることはありません。

そして、20年以上の長期にわたって加入しつづければ掛け金よりも多くの金額を手にできる可能性もあります。しかし、お金が損しないといっても、毎月手元のお金が減ることになるので、「退職金がわりだ!」「貯金だ!」と割り切ることができないと、長続きしません。

個人事業主の場合、場合によっては法人化を検討する

個人事業主で事業が順調に進むと、課税所得が増えます。そうなると累進課税という仕組みで、どんどん税金が増えて行きます。課税所得が900万円を超えると、所得税が33%と高くなるため、法人化を検討したほうが良いでしょう。何故かというと、個人の所得税は下記のような累進課税ですが、法人税は資本金1億円未満の会社は所得800万円までは15%、800万円を超える部分は23.2%で一定のためです
 

◆累進課税(個人事業主や一般の方)
  • 年収(課税所得)が195万円以下 5%
  • 年収(課税所得)が330万円以下 10%
  • 年収(課税所得)が695万円以下 20%
  • 年収(課税所得)が900万円以下 23%
  • 年収(課税所得)が1800万円以下 33%
  • 年収(課税所得)が4000万円以下 40%
  • 年収(課税所得)が4000万円超  45%

しかし、会社の規模が成長していないのに、法人化しても意味がありません。法人を検討するときは、法人化のメリットとデメリットを事前に検討しなくてはいけません。

法人化のメリットは、事業規模が大きくなると節税対策になる、借入金などの責任範囲を有限責任にできる、信用力があがるなどで、法人化のデメリットとしては、設立や廃業の手続きが複雑、法人税申告書が複雑などが挙げられます。また、事業所得の一部を自分の給料とすることで、給与所得控除を受けることができることも大きなメリットです。事業の規模が拡大していないのに、法人化する意味はあまりありません。

青色申告制度を利用する

「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出すると、課税所得から65万円を差し引くことができます。以下で、所得を600万円、経費を200万円と想定し、青色申告をしない場合とした場合の税金を計算してみました(※以下の計算では扶養控除などは抜きで考えています)。
 

【青色申告をしない場合】
  • 課税所得=収入600万円-経費200万円=400万円
  • 課税所得400万円×税率20%-控除額427,500円=所得税額372,500円

 

【青色申告をする場合】
  • 課税所得=収入600万円-経費200万円-青色申告特別控除65万円=335万円
  • 課税所得335万円×税率20%-控除額427,500円=所得税額242,500円

このように、青色申告をすることで13万円の節税につながります。ただし、65万円の特別控除を受けるためには、「単式簿記」ではなく、すこし複雑な「複式簿記」で記帳をしなければなりません。

そして、「青色申告の専従者制度」を使うと、配偶者や家族に支払っているお給料を全額経費にできます。この場合、対象となる人が他の仕事をしていてはいけない、などの条件がいくつかあります。最大38万円の「配偶者控除」と併用ができないため、年間38万円以上の給与を払う場合のみの使用がおすすめです。

日々の食費を経費計上する

料理店を運営している場合、日々のプライベートな食費が経費になります。外での飲み代を含めた交際接待費が全額経費になるのはすべての経営者に共通していますが、飲食店経営者だと日々の食材購入費についても経費にできるようになります。

顧客に提供するために購入した食材費については、当然ながら全額経費です。食材は腐るため廃棄も普通であり、一般的な在庫のように「売れなければ何年も経費にできない」という性質のものではありません。購入した食材が数日で使えなくなるので、購入してすぐに経費化することが頻繁にあります。また、一般的な在庫のように「商品1個」などの計算はできません。例えばキャベツを切るにしても、キャベツを4分の1だけ使うことがあれば、半分ほど利用して調理することもあります。購入した食材をどのように活用したのかについては自由に設定できます。このとき、毎日の食材購入のときに「自分の家で調理し、食べるための食材」についても多めに購入しておきます。そうすれば、会社のお金で個人的に利用するための日々の食費を購入できるようになります。

まとめ


いかがでしたでしょうか?今回は、飲食店が取り組みたい節税対策について解説しましたが、裏技のようなすごい節税対策は存在しませんし、世間では節税といいながら、関係ない交際費を費用として使うなど、実は脱税のケースが多いです節税を行い、税金の支払いを節約するよりも大切なことは、事業のお金と自分の財布と明確に分けることです。私が見てきた多くの個人事業者は、分けて管理している人も稀で、どんぶり勘定を行っているケースが多々あります。これでは事業の支出を管理するのが困難です。節税も大切ですが、まずは財布を分けて管理することの方が、適切に支出を管理することができます。

そして、節税に関しては、専門家である税理士のアドバイスを貰うことで解決できます。ただし、税理士の中でも節税に詳しくない方もいますので、何社かの税理士とコンタクトを取り、確認することをおススメします。

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