自社の顧問税理士が資金調達支援をしていない場合、どうすればよいのか?
自社の顧問税理士が資金調達支援をしてくれればとてもありがたいことですが、もし、資金調達の支援を提供しておらず、また、専門家の紹介もできないということでしたらどうすればよいでしょうか?
今回は、自社の顧問税理士が資金調達支援をしていない場合の選択肢を解説していきます。
税理士は資金調達の専門家ではない!?
基本的に税理士は、税法の専門家の立場から税務と会計のサポートをします。「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つの業務は、税理士にしか許可されていない独占業務として法律で定められています。
- 記帳代行・サポート業務
- 決算業務
- 税務申告業務・税務相談
主に上記の業務が税理士の仕事ですが、具体的にはお金の出入りを帳簿に記帳し、年に一度決算書を作成します。その決算書を基に税務申告書を作成し、税務署に提出するのが業務の大きな流れです。
ただ、お金のプロですので、融資・資金調達をサポートしたり、金融機関とのコネクションがある税理士は多数存在します。そして中小企業の経営力向上を支援する「経営革新等支援機関」として税理士事務所が登録していれば資金調達の成功に近づきます。経営革新等支援機関によるサポートを受けていれば、しっかりとした事業計画が練られていると判断されやすく、融資の審査にもプラスに影響してきます。融資意外に各種の補助金制度では、経営革新等支援機関から支援を受けていることを必須要件としているものもあります。
顧問税理士とは?
顧問税理士とは、一定期間において顧問契約を結んだ税理士のことですが、特に法人で起業した人は税理士と顧問契約しているケースが多いかと思います。
会計・経理業務を自社で行えるようサポートをしたり、決算カウンセリングをすることで現在の事業・財務状況を明らかにし、どのようにすれば持続的に成長できる財務基盤の構築を実現できるかといった経営の根幹に関わる助言を行うのも顧問税理士の重要な仕事です。顧問税理士とは、顧客企業の成長に合わせてビジネスをサポートする言わば「経営のパートナー」といった存在です。
自社の顧問税理士が資金調達支援をしていない場合、どうすればよいのか?
自社の顧問税理士が資金調達支援をしていない場合、どうすればよいのか。選択肢としては以下があります。それぞれについて説明します。
自力で資金調達活動をする
まずは「自力で資金調達活動をする」ですが、これはかなりハードルが高いです。経営者として十分な銀行交渉の経験などがあれば別ですが、そうでない場合はやはり専門家からのアドバイスを受けることをお勧めします。
自ら資金調達の専門家やコンサルタントを探す
次に「自ら資金調達の専門家やコンサルタントを探す」ですが、インターネットで検索をすればたくさんの専門家がいます。もし、顧問税理士が認定支援機関でない場合は、認定支援機関に登録している外部の専門家(中小企業診断士や行政書士などの士業や民間の経営コンサルタントなど )をお勧めします。
しかしながら、その中から自分にとって最適な専門家を探し出すのは難しいことかもしれません。そのようなときには、第三者の意見として顧問税理士の意見を聞いてもよいと思われます。
また、外部の専門家に資金調達支援の依頼をする際に、顧問税理士が連携してくれると支援がスムーズに進みます。実際のところ、外部の専門家も助かりますので、事前に顧問税理士に「外部の専門家に資金調達支援を依頼するのですが、必要に応じて協力していただくことはできますか?」と確認することをお勧めします。例えば「資金繰り表の作成」について協力してもらえるかどうか、確認してみてください。
ちなみに、商工会・商工会議所、自治体の融資相談窓口、中小企業庁管轄のよろず支援拠点・地域プラットフォーム、日本政策金融公庫や信用保証協会といった公的性質のある機関は、融資相談だけでも応じてくれますので、状況に応じて検討してみてください。
資金調達に強い税理士事務所を探してみる
最後に「資金調達に強い税理士事務所を探してみる」ですが、既に顧問税理士がいる場合、別の税理士に相談するというのは、少々気が重いかもしれません。また、「資金調達支援は顧問先企業に限定した支援」としている事務所が多いかもしれません。しかしながら、資金調達の支援だけでも対応してくれる税理士・会計事務所も存在します。
まとめ
起業時に資金調達を検討している方は、最初から資金調達に強い税理士と顧問契約を結ぶのが得策です。
資金調達に強い税理士は、身近にいるとも限りません。そんなときは、税理士紹介会社や税理士会、商工会議所、インターネットなどを利用して探してみてください。