目安とされる業種別の必要開業資金額について
開業に必要な資金は、開業する業種によって異なります。1,000万円以上の資金を必要とする業種もあれば、0円で開業できる業種もあります。
今回は、目安とされる業種別の必要開業資金額についてお知らせします。
開業に必要な資金について
開業に必要な資金について、どんな資金なのか、なぜ必要なのかをお知らせします。
まず「開業資金」が必要になります。主な内訳は、店舗取得費、設備を揃える費用や改装費、備品購入費用などが挙げられますが、飲食店を開業するのであれば、調理器具や冷蔵庫、食洗機などの備品購入費も含められます。PCや事務用品などの購入費も必要です。
次に「運転資金」が必要になります。主な内訳は、仕入れ代金が現金になるまでに必要なお金です。人を雇った場合には人件費、店舗が賃貸の場合には毎月の家賃があります。これらの人件費や家賃は売上に左右されずに、毎月発生する固定費になります。
最後に、「予備資金」も用意しておくことをおすすめします。この予備資金は、当座の生活費や万が一事業がうまくいかなかった場合の資金として必要なものです。独立起業して、すぐ利益が出るということはほとんどありません。早くて半年、長くて1年ほどは赤字が続くと考えておくのが一般的です。その間の生活費は、開業時に用意しておく必要があります。たとえば、夫婦と子ども一人といった家庭の場合、毎月30万円の生活費がかかっているとしたら、その半年分ですから、30万×6ヶ月で180万円は必要になります。必要な生活費は世帯により異なりますので、まずはご自分の家庭の毎月の生活費を計算し、そこから予備資金を計算しましょう。
業種ごとに必要な開業資金
開業に必要な資金は、開業する業種によって異なります。1,000万円近くの資金を必要とする業種もあれば、0円で開業できる業種もあります。ここでは以下6つの業種で目安とされている開業資金と、どんな資金がかかるのかを比較していきましょう。
- 飲食業
- 医院系
- 小売業
- 美容系
- サービス系
- IT系
飲食業
飲食業は、開業資金が高い部類に入ります。開業資金の目安は、500~1,000万円程度です。
調理スペースや事務室だけでなく、飲食店には客席が必要です。ある程度の大きさの店舗を用意できなければ、繁盛してもお客さんが入りきれず、売れる機会を逃す=機会損失が発生します。お客さんにとって快適なスペースをつくるために、インテリアはもちろん、床暖房のような設備も欲しいものです。ほかにも、調理器具や冷蔵庫・食洗機と、まとまった設備投資が必要になります。
医院系
病院を開業したい場合、診療科目別にそれぞれ開業資金が異なります。
しかし、医院を開業する場合、清潔感のある内装を心がけるほか、診察に必要な機械の購入などが必要であるため、飲食店開業と比較すると開業資金は高額になるでしょう。医院を開業する場合、安くても1,000万円は必要で、機器の購入などに多額の費用がかかる場合には1億円ほど必要な場合もあります。
小売業
小売業も、飲食業並みに開業資金がかかる業種です。1,000万円以内を目安に、開業資金が必要になると思っておきましょう。
店舗用の建物代や土地代、商品陳列用の什器などに、大きなお金がかかります。商品を魅力的に見せるには、お店のコンセプトを決め、コンセプトに合ったインテリアを考えなければなりません。デザイン性の高い什器は高く、インテリアをデザイナーに依頼する場合は必要な資金も大きくなります。
なお、小売業の中でもコンビニエンスストア(フランチャイズ)の場合は、開業資金は300万円ほどです。本部に資金の一部を負担してもらえる場合があり、内装もある程度決まっていることから、開業資金の自己負担は少ない方といえます。
美容系
美容系は、開業資金が高い部類です。開業資金の目安は、700~1,500万円程度です。
美容室やエステも、飲食店や小売店のように、店舗のコンセプトを決め、インテリアにこだわらなければなりません。加えて、シャンプー台や鏡など、高額な備品も多く必要です。お客さん1人に対して1人の従業員が必要になるので、従業員の雇用数も出勤数も多くなり、人件費もかかります。
サービス系
サービス系のビジネスとは、ハウスクリーニングや高齢者向けサービスなどの、家事代行サービスのことを指します。開業資金は低い部類で、ハウスクリーニングであれば200~500万円程度で開業できます。
開業資金が低い理由は、店舗を必要としない場合が多いからです。仕事をするのは客先なので、自宅を事務所とすることが可能なフランチャイズ本部も多いです。客先までの移動に、自家用車の使用が可能な本部もあります。仕事道具として専門の備品は必要になるものの、ほかの業種と比べてお金がかからないケースが多いです。
IT系
IT系のビジネスは、最も開業資金がかからないビジネスです。0~30万円程度で開業できる場合が多いので、初期の負担が限りなく少ないです。
例えばプログラマーやライターなどでフリーランスになのであれば、必要なのはPCだけです。自宅にあるPCをそのまま仕事道具にすれば、開業資金は0円です。デザイナーの場合は液晶タブレットをはじめとする専用の道具が必要になることもあるものの、デザイナーになろうという人は、仕事や趣味でもともと持っていることが多いでしょう。新たに購入するとしても、30万円以内で収まることが多いです。ネットショップや携帯・通信回線の取り次ぎビジネスでも、初期投資は30万円程度に収まる場合がほとんどです。
まとめ
上記でもお知らせしましたが、ビジネスを展開していく場合、店舗取得や改装費、設備費などの「開業資金」に加え、人件費や家賃などの「運転資金」の2つが必要です。さらに、当座の生活費などの「予備資金」も必要なるため、開業資金は余裕を持たせることが重要です。
開業資金は、事業スタイルにより変わります。店舗経営に比べ、無店舗ビジネスや自宅を改装して行うビジネスのほうが、開業資金は安くなる傾向にあります。
開業資金が足りないという場合は、融資を受けるのが一般的です。借入先としては、銀行、信用金庫・信用組合などの民間の金融機関のほか、「日本政策金融公庫」などの公的な機関が行っている融資制度がありますので、開業する前に準備しておきましょう。