起業後に税理士と顧問契約をする目安とは?
法人の多くは顧問税理士をおり、会社経営と税理士は切っても切り離せない関係ですが、よく「どのタイミングで税理士をつけたらいいのか」と質問されることがあります。当然、顧問契約になると毎月数万円の費用が発生しますし、起業直後にはできるだけ出費を抑えたい所なので、必要ではない場合は、税理士をつけたくないところです。
この問題を解決する為には、税理士に依頼できることとできないことを理解しておかないと、報酬の支払いに負担を感じるようになるでしょう。
今回は、起業後に税理士をつける目的と、顧問契約の目安について解説していきます。
税理士とは?税理士に依頼できる事とは?
税理士は、主に企業や個人事業主の税務処理や納税・節税に関するアドバイスなど、税務を行う役割を担っています。税理士の独占業務は、税理士法により、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つと規定されています。
- 税務代理:納税者の代わりに税務署等への申告・申請を行ったり、税務調査に立ち会い、納税者の代わりに税務調査の対応を行ったりする業務です。
- 税務書類の作成:税務署に提出する届出書を納税者に代わって作成したり、提出したりする業務です。申告書の作成などが代表的な業務です。
- 税務相談:税金の計算や必要な手続きといった、税務の相談に応じる業務です。
そして、具体的に依頼できる業務としては以下が挙げられます。
- 税金の申告や申請の代理業務
- 税務書類の作成業務
- 税務に関する相談業務
- 税金に関する措置に対して不服審査請求をする場合の手続き代行業務
- 税務調査に立ち会う業務
- 資金調達の相談
- 補助金/助成金の相談
- 事業計画書作成補助
- 財務書類を作成業務
- 記帳代行業務
顧問税理士をつける目的とは?
起業後に、顧問税理士をつける目的は以下になります。
- 合法的な手段で会計や税務処理をし、後々のリスクを最小限に抑える為
- 税務調査が入ったときに、会社側の立場に立って守ってもらう為
- 資金調達の支援と借り入れしたお金の管理と使い方のアドバイスをしてもらう為
会社設立当初は様々な手続きや税務署への提出物などが多く、細々と疑問が出てくるでしょう。全部税理士にまかせたい気持ちにはなりますが、その疑問の大部分はネットで調べればすぐに解決できます。起業したてでほとんど売上が無いにも関わらず、一時的な疑問を解消するために顧問税理士をつけるのは無駄な経費と言えます。また、税務調査が入った時の支援についてですが、起業直後に税務調査が入ることは早々ありませんので、税務調査目的で依頼するのはこれも無駄使いと言えるでしょう。
最後に資金調達の支援については、顧問契約をするタイミングと言えます。理由として、まずは資金調達をする際は、事業計画書作成から依頼することになりますので、中長期的な会社の戦略やお金の流れを一緒に組み立てることになります。そして借入したお金の管理や使い方の教授、税理士の業務である記帳代行、申請書類、補助金や助成金の補助、決算書作成など、会社経営をしていく上で重要な部分をすべて依頼できることになり、逆に月数万円でこれだけの事を依頼できるのは大変なメリットとなります。
顧問税理士をつける目安とは?
では、どのタイミングで税理士をつけるといいのでしょうか。大きく分けると2つあります。
1つめは、上記でお知らせした資金調達をするタイミングです。詳細は上記の通りですが、ここでの留意点として、金融機関とのパイプがある税理士、認定支援機関を取得している税理士(融資の受けられる制度が多くなり、金利が安価になる可能性がある為)、ベンチャー企業を多く顧問先として抱えている税理士などに依頼するという事です。顧問料金につられて依頼して、実は資金調達を行ったことがないという税理士を選ばないようにすることが重要です。
2つめは、売上が上がってきたタイミング(1年間で1,000万円程の売上)、1期目の確定申告が到来したタイミングで税理士に相談するケースが多いです。やはり法人の決算申告は、個人の決算、確定申告と比較して複雑になっているため、自分で申告しようと思っていたが、申告書様式等を見て諦め、税理士にまずは決算・申告から依頼しようという方も多いです。
お金ではない税理士というパートナーができると考える事も大切
会計や税金の事だけ行っているという事務所もありますが、税理士事務所の中では、お金のこと、経営のことを何でも相談できるサポーターという立ち位置で経営者に対応する事務所もあります。会社経営していけば税理士とは廃業するまでの付き合いになりますので、作業屋としてではなく、経営パートナーという考えで付き合っていけば、より経営もスムーズに行うことが出来るでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?税理士に依頼するタイミングとして、資金調達するタイミング、売上が上がってきたタイミング(1年間で1,000万円程の売上)、1期目の確定申告のタイミングが目安になります。
それまでは、自分で税務署に相談に行ったり、インターネットで調べたり、クラウド会計を活用したりして、なるべく経費を抑えることをおススメします。