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【経営者基礎知識】IPO・M&A・非上場の違いについて


株式会社で起業すると、IPO(新規上場)する、M&A(合併・買収)によって事業を売却する、あえて非上場のままであり続ける。この3つのどれかを選ぶことになります。

今回は、IPO・M&A・非上場の違いについて解説していきます。

IPO(新規上場)M&A(合併・買収)非上場とは?

IPO・M&A・非上場の違いについて知る前に、まずはそれぞれの事について把握しておかなくてはいけません。

IPO(新規上場)とは?

IPOとは、Initial Public Offeringの略で、自社の株式を証券取引所などに公開することを言います。IPOを馴染みのある言葉に置き換えると、「企業が新たに証券市場にて上場を果たすこと」です。

日本には証券取引所は複数ありますが、全上場企業のうち9割以上が上場しているのが東京証券取引所です。市場第1部、市場第2部、JASDAQ、マザーズという4つの市場に分かれています。上場審査は二部より一部の方が、条件が厳しく設定されています。

初めて上場する会社は登竜門として二部上場し、実績を積んでから一部を目指すのが一般的なようです。IPOをすると、日々自社の株式が取引所で売買され、その売買される金額が株価となります。また上場会社となると四半期ごとに決算報告をしたり、適時に業績予想をしなければならず、その結果次第では株価が高騰したり、逆に低下したりします。四半期ごとの業績報告は、会社の自由としてしまうと株価の維持のために虚偽の報告をしてしまうおそれがあることから、会計監査人(監査法人または公認会計士)の会計監査や四半期レビューを受けたものとする必要があります。会計監査の際には、会社の内部統制監査についての意見も会計監査人から受けることとなります。

M&A(合併・買収)とは?

Mergers(合併) & Acquisitions(買収)の略で、他社を自社に取り込んだり、買収することで傘下においたりすることをいいます。異なる企業が一つの事業体になる、または一つのグループに属すことになりますので、オペレーションにおいて検討すべきことが多かったり、会計・税務上も専門性の高い知識・経験が必要になります。

M&Aの手法には株式譲受(株式譲渡)・新株引受・株式交換、事業譲渡、合併、会社分割などの様々な手法があります。中小企業の(狭義の)M&Aにおいては実務上9割前後が株式譲渡となっております。

非上場とは?

非上場企業とは、証券取引所に上場していない株式会社のことです。企業の規模や業績にかかわらず、誰もが知る有名企業にも非上場企業があります。

非上場のメリットは、株主の意見に左右されない経営ができる事です。近年では自らの意見を表明し、積極的に経営に関わり改革に迫る「物言う株主」が増えています。M&A、低収益事業の売却、コスト削減、手元資金の活用、改革に消極的な役員の退任、改革推進派の役員選任などを要求する傾向があります。この目的は、経営効率を高めて株価や配当を引き上げることです。

非上場のデメリットとしては、資金調達の手段が限られたり、経営トップの暴走を防ぐことが難しいなどが挙げられます。

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IPOとM&Aの違いとは?

ここでは、IPOとM&Aの違いについて説明します。

結果が出るまでの時間が異なる

IPOは、何年もかけて社内体制を構築したり、期待される業績を上げたりする必要がありますが、M&Aは、売買する双方の合意があれば、数ヵ月という短期間で行うことも可能です。

かかるコストが異なる

IPOに適した社内体制を構築するためには、人の部分、サービスのレベルアップ、それに伴うお金の部分、そして時間といった経営資源を、数年単位で投入しなくてはなりません。経理の体制だけでも入力者、確認者、承認者の最低でも3人体制にしたりするなど、IPOに備えなくてはいけません。M&Aでは、双方の合意があれば、特別な体制などを築く必要はありません。

対象企業に望む成長性が異なってくる

IPOを検討する段階で、企業にはある程度の事業規模と成長実績が求められ、今後も拡大成長し続けることが期待されます。反対にM&Aでは、IPOに適さない小規模な事業や、成長状態にない業績安定企業であっても買収対象となりえます。

IPO、M&A、非上場を選択する判断基準とは?

IPOをすると、市場から一気に多額の資本を集めることが可能になります。継続的に拡大、成長していくことが見込まれるのであれば、IPOは最適の方法です。実現へのハードルが最も高いのはIPOです。事業成長のビジョンと事業リスクが第三者に説明できるレベルにまで明確化・具体化する必要があり、その事業成長ビジョンは、中期(3~5年)、長期(5年以上)かつ、事業のステージごとに明示しておく必要があります。

IPOを目指していた企業が声をかけられて、M&Aに切り替えることはよくあります。IPOに備えて、中長期的な成長ビジョンや、必要な社内体制を整理できている企業は、M&Aにシフトしたほうが、売却時の価値は高いかもしれません。反対に、M&Aによる事業売却を出口戦略として考えてきたベンチャー企業が、急にIPOを目指すのは難しいこともあります。短期成長には自信があるけれども、中長期的な成長の絵は描けない、または描くつもりがないという場合もあります。その場合は、起業して成長させてから売却して現金化するというスタイルがいいかもしれません。

最後に、現在、あえて上場せずに非上場のまま、資金調達によりお金を集めて事業拡大をしている企業が増加しています。非上場の大きなメリットは、株主の意見に左右されることなく、自由な経営を行えることです。上場すると、株主の意見を無視するわけにはいかず、赤字が続いている事業があれば株主から撤退を迫られることもあります。上場することで、社会的信用や資金をスピーディに得られる反面、株主を納得させるための努力は避けられないので、中長期的にじっくりと事業に取り組みたい企業ほど、非上場という選択をするケースが多いです。

まとめ


いかがでしたでしょうか?簡潔にまとめると以下になります。

  • 上場:成長、拡大、増益への株主プレッシャーに耐えて、大きな成長を目指すのか
  • M&A:スピーディーに企業価値を創り出して、他社に売り込んで一時に多額の対価を獲得するのか
  • 非上場:他に文句を言われず資金を自由に事業に使い続ける、または経営者自身が報酬として得続けるのか

株式の上場は多くの経営者が目指すところですが、企業によってはデメリットのほうが大きいこともあります。非上場ほうが生き生きと働ける社風である場合もあります。IPO・M&A・非上場の違いを把握して「自分の会社が最終的にどこを目指しているのか」を考え、検討するといいでしょう。

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