起業直後の運転資金を『補助金・助成金』で補うは間違い!?
よく起業・開業検討者とお話ししていると、補助金や助成金を受けて、それを起業直後の運転資金にまわしたいと考えている方がいます。返済義務がないので、補助金や助成金をあてに考えている方も多いですが、基本的に助成金や補助金は、すぐに受給できるものはほとんどありません。公募して採択されても1年から1年半経過後に取得できるものが多いのが現状です。採択率が低いものもあり、すべてお金をもらえるものでもありません。
補助金・助成金申請が実行される前に、資金繰りが悪くなってしまう会社が多い傾向があり、受けるために事業計画を考えたり、提出物が多かったり、セミナーに出なければいけないケースもありますので時間もかかります。
補助金・助成金と、聞こえはいいかもしれませんが、まずは自分の事業に向き合い、利益を上げることに時間に費やしたほうが得策ではないかと考えます。
補助金・助成金を受けるときの注意点
返済義務が生じない助成金や補助金とはいえ、各主催団体に合わせて書類を整えるのはたいへんな作業です。また、それだけの労力をかけても、必ず受け取れるというものではありません。助成金や補助金の申請から、実際に受け取るまでに注意したほうがいいポイントを以下にまとめました。
受給されるまでに時間がかかる(後払い)
よく勘違いされる部分はこれで、補助金や助成金はすぐに着金されると勘違いされている方がいますが、基本的に補助金や助成金は後払いです。そして採択された場合でも、短期の資金調達が必要です。助成金や補助金が支給されるまでに利用する融資制度などについても早めに情報を収集しておくべきです。
メリットが大きいものは倍率も高くなりがち
返済義務がある融資に対して、返済しなくて良い助成金・補助金。さらに、募集の間口が広かったり支給額が高額だったりと、受ける側のメリットが大きい助成金・補助金は応募が殺到します。例えば、2016年の「創業・第二創業促進補助金」では、1ヵ月弱の公募期間で2,866件の応募がありましたが、採択されたのはたったの136件。およそ4.7%の事業者しか助成金が得られなかったことになります。
助成金や補助金をもらうために開業するのではなく、まずは計画をしっかり立てて「サポートする価値が十分にある」と思われる事業を作っていくことが第一です。
提出書類の準備には時間と労力がかかる
事業計画書に収支計画、申請書類など、助成金や補助金の制度に応募する際は、数多くの書類を用意しなければいけないケースがほとんどです。もちろん、ただ書類をそろえるだけではいけません。高い倍率を勝ち抜くためには、主催団体の目的をくみ取って「この事業には価値がある」と認識してもらえるようにアピールすることが大切です。なお、すでに創業している場合は、創業から現在までの各種帳簿が必要な場合もあります。
すべての書類を準備するためには、かなりの時間と労力がかかることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。時には司法書士に書類作成の一部を依頼したり、相談をしたりする必要が生じて思わぬコストがかかるケースも考えられます。しかも、助成金や補助金の採択は約束されたものではありません。どれだけ優れた書類を用意できたとしても、不採択になる可能性があることは頭に入れておきましょう。
難しく思えるときは専門家の援助を受ける事が得策
補助金や助成金の申請をしていくにあたり、難しく思えるときは専門家の助けを活用してください。
- 助成金申請代行⇒社会保険労務士(社労士)
- 補助金申請代行⇒行政書士、中小企業診断士、税理士など
信頼できる外部の専門家の援助を受けることで、時間や手間が省けるだけではなく、正確に物事を扱うことができます。さらに、プロの力によって採択率が高まるのも事実です。ほかにも、専門家によってはレクチャーしてくれることによってノウハウを吸収させてもらえるメリットもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?起業直後に補助金や助成金の受給が出来る事はありませんので、まず起業直後に資金調達を考えている方は融資を検討しましょう。補助金や助成金は事業資金の足しにできるものと考えておくことが良いでしょう。
返済が不要という点は、とてもありがたいものですが、応募条件や申請書類が複雑なものがほとんどで、受給までにはかなりの時間と労力がかかります。それでも、資金不足のせいでビジネスチャンスを逃すことがないよう、ぜひ活用を検討してみてください。