ビジネスの成功は選択次第!個人事業主と法人の違いを理解しよう
起業・開業する際には形を決める必要があります。大きく分ければ、「個人事業主」か「法人」なのかという2つに分類されます。法人と個人事業主では、税金面や設立費用などが異なるため、事前にきちんと理解する必要があります。
そこで今回は、法人・個人事業主の意味や法人と個人事業主との違いについて詳しく解説していきます。
法人とは?
法人とは、組織に対して法律上の人格を与えることで、人と同じような権利や義務を認める存在になります。
そして法人には様々な形態があります。最もよく知られているのは「株式会社」ですが、その他にも営業目的によってさまざまな形態(種類)があり、それぞれ手続き方法や、申請から登記完了までにかかる期間も、数週間から数ヵ月と様々です。設立後も、納税額を決める所得の課税範囲や、国・自治体から受けられる助成なども法人の種類によって異なるため、事業内容に合わせて適切に選ぶ必要があります。
【営利法人】
株式会社
会社の資金となる株を発行し、そのお金を元に事業を行う法人です。株主総会を開催することで、株主の意見が会社の経営と利益分配に影響します。創業者や役員以外の人の意見が反映されるなどのオープンな印象からか、社会的な信用は高い傾向があります。
合同会社・合資会社・合名会社(持株会社)
これらは個人事業主の小規模な事業を法人にする場合などに選択する法人格です。総じて株式会社より設立の手続きが簡便なほか、以下の違いや特徴があります。
- 会社維持のためのコストが低く抑えられる
- 規模が小さいため経営に関する意思決定が早く済む
- 倒産の際や負債が発生した場合に出資以上の負債を負わなくて済む有限責任社員と、逆に負債をすべて返済する義務がある無限責任社員が必要(合資会社)
- 無限責任社員1名から設立できる(合名会社) など
【非営利法人】
NPO法人(特定非営利活動法人)
営利を目的としない、特定の分野、目的のみのために活動する法人のことを言います。活動内容によって、国や地方自治体からの助成金、支援プログラムなどを受けることができます。
一般社団法人
300万円以上の寄付による財産を利用する目的で設立、運営される法人のことを言います。
一般財団法人
一定の目的を持って集められた財産を扱う団体で、法人として認められた存在のことを言います。
【その他の法人】
その他、学校法人、医療法人、社会福祉法人、農業協同組合、農事組合法人、(マンションなどの)管理組合法人、事業協同組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合、などがあります。
個人事業主とは?
個人事業主とは、法人を設立せず、個人として事業を行っている人のことです。企業や団体に属さず、単発の仕事ごとに契約を結びながら個人で仕事をしている人を指す「フリーランス」が「個人事業主」と同義で使われることがありますが、法人化しているケースも多く、法人化していないフリーランスはすべて個人事業主であり、フリーランスは、特定の企業や団体に所属しない働き方を表す言葉だといえます。
『個人事業主』と『法人』の違い
そのぞれのケース毎で、『個人事業主』と『法人』の違いについてお知らせします。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
登記などは不要で、税務署に開業届を出すだけで大丈夫。
定款作成や登記など複雑な手続きが必要。かかる費用は25~30万円が相場。
税務署のほか、地方自治体への届け出が必要。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
事業を廃止するときに、個人事業主は届出を出すだけで大丈夫。
解散登記、公告等などが必要で数万円の費用がかかる。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
1月~12月(変えられない)。
3月決算、9月決算、12月決算など、自由に決めることが出来る。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
自分の生活費などは経費として処理できない。
代表取締役として受け取る給与は経費扱いになる。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
法人でないと取引先として認めてもらえないケースも珍しくない。
企業イメージが良いため、取引先獲得や融資審査では有利に働きやすい。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
青色申告を行なっていれば翌年以降3年間の利益から差し引きできる。
赤字の繰越は翌事業年度以降の利益から9年間繰越可能。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
業務のために支出したものであれば、全額経費として処理可能。
年間400万円までであれば 実際に支出した金額の90%まで損金参入可能(資本金1億円以下の場合)。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
従業員5人未満なら社会保険加入は任意。
社長1人の会社でも強制的に加入。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
個人で確定申告をおこなう。
法人決算書・申告が必要になる。
- 個人事業主の場合
- 法人設立の場合
経費の範囲が狭い。生命保険控除には上限があるうえ、経営者への給与は経費にならない。
経費の範囲は広くなる。生命保険は全額経費になり、経営者への報酬もすべて経費で落とすことができる。しかし、仮に赤字であったとしても法人税として毎年7万円の納税義務がある。
個人事業主と法人の資金調達の違い
資金調達の難易度的な問題は、個人事業も法人もそれほど変わりません。どちらで起業・開業しようと資金調達しやすくなる訳では無いという事です。結局は代表者個人の信用や事業計画、事業に対する熱意が全てを握っているということです。
但し、創業融資を受けたお金を返済出来なくなった場合には、法人の場合はこういったケースでも個人財産を守る事ができますが、個人事業主の場合、個人の財産で責任を負うことになります。
その他にも、個人事業主の場合は株式や持ち分を発行できないので、出資を受ける事はできないといった事があります。個人事業主から会社組織に変更して投資を受けるという事も可能ですが、どうしても時間が掛かってしまいますので、早く事業を早く拡大する為に出資を受けたいという方は、事前に法人で起業するのがいいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、個人事業主、法人について、それぞれの違いについて解説しました。設立費用、経費範囲、保険など様々な違いがありますので、事業を始める前に把握しておきましょう。
そして、個人事業主で開業するか法人で開業するか迷われた際には、専門家(司法書士など)に相談すると良いでしょう。