資金調達に関するノウハウを提供する情報メディア

日本政策金融公庫の融資面談ではどのような事が聞かれるのか?


日本政策金融公庫から借り入れをする場合、必ず融資面談が行われます。融資面談とは、融資担当者が融資希望者へ対して様々な質問を行い、本当に融資を行っていいのかどうかを見極めるものです。そこで、必ず聞かれる質問の対策をするということは、試験の前に過去問を解くのと似ています。各試験に出題の癖があるように、融資面談にも傾向があります。そのため、質問に対して回答を用意しておくだけで、何を聞かれるのか分からない不安よりも、自信をもって面談に臨むことができます。

そこで今回は、日本政策金融公庫の面談時に聞かれる質問と回答内容についてご紹介していきます。

※この記事を書いている「資金調達のミカタ」を運営している株式会社ベクターホールディングスが発行している「起業のミカタ(小冊子)」では、更に詳しい情報を解説しています。無料でお送りしていますので、是非取り寄せをしてみて下さい。

日本政策金融公庫の面談基礎知識

日本政策金融公庫の面談は創業計画書をもとに面談が進められていきますが、その内容に補足をしたり、書ききれなかった思いや、さらに細かい内容を伝えたりすることができるのが面談です。ご自身の起業に対する考えや計画を伝える最大のチャンスですし、面談の融資担当者は起業を応援したいと思っています。融資担当者が納得するまでさまざまな質問をされるかもしれませんが、決して嘘はつかず、常識をわきまえ、ご自身の熱意をきちんと伝えましょう。

面談の場所については、基本的に日本政策金融公庫の問い合わせをした場所で行われます。申請書類等を提出してから、何日かして連絡が来る場合が多いです。面談にかかる時間は、1時間程度です。内容に不備がある場合や確認事項が多い場合はもっと時間をかけて行われる場合もあります。

【無料】資金調達相談会を実施しています。資金調達相談会申し込みはこちらから。

日本政策金融公庫の面談で想定される質問について

融資の種類や金融機関によって変わりますが、多くのケースで、以下の質問があります。それぞれの質問についての要点をお知らせします。

自己資金はいくらなのか? どのように貯めたのか?

自己資金は、これが入っている通帳や預金・定期の残高証明などを提示して証明します。通帳に親からもらった資金が入っている場合には、その箇所に赤線を引くなどして提示するとよいでしょう。

ちなみに自己資金とは以下になります。

  • 自分で貯めた資金
  • 親族からの支援金(返済義務無)
  • 退職金
  • 融資の申し込み前に行った支出(裏付け資料が必要になります)
  • ※株・有価証券・不動産など

自己資金とは起業家が自ら貯めて準備をした資金のことです。そして、自己資金の基本的な考え方は「通帳で確認できること」と「出所が不明な資金ではないこと」「返済義務がない親族からの支援金」などになります。

公共料金や家賃の支払いは、どうやっているのか? 支払いに問題はないか?

公共料金や家賃を口座引き落としで支払っている場合には、通帳のその箇所を提示します。また、その他の場合には支払った用紙の残票や、家賃の支払い帳などを提示します。なお、この際には毎月の支払いの経緯が連続していることが重要となります。

ちなみに確認される範囲は、直近より6ヶ月~約1年前までというのが一般的です。もし、支払いが連続していない月や遅れた月があると融資に不利となりますので、事前に確認してから申し込んでください。

営業場所はどこなのか?

営業場所については、テナントの賃貸契約書や不動産屋の間取図などを提出します。しかし、この場合、必ずしも正式な契約までしている必要はありません。また、同時に住宅地図のコピーや、建物外観の写真を用意しておくと好印象となります。なお、融資の結果がでるまでにそのテナントを他に借りられてしまったり、契約が解除されると、その融資はやり直しとなってしまいますのでご注意ください。

なぜ、この事業を始めようと思ったのか?

これはほぼ必ず聞かれる質問の一つですが、ここで重要なのが「公利」という視点です。その動機が単に自分の金儲けだけを考えたものではなく、多くの人に利益を与えるもの、いわゆる「公利」にもつながるという点をアピールできれば、金融機関の評価は高くなります。

これからする事業の経験はどのくらいあるのか?

事業経験の有無は、融資の審査に大きな影響を及ぼします。事業経験の期間は「5年以上」あれば問題ありませんが、できれば「3年」以上は欲しいところですなお、事業経験がまったくなくとも、フランチャイズに参加してシッカリとしたトレーニングを受けていれば「事業経験あり」と認めてもらいやすくなります。もし、事業経験が少ない場合には、前職で経験した関連する業務(例えば、経理や仕様品管理、接客など)を組み合わせてアピールすることにより、事業経験の不足を補うことができる場合があります。

主力となる商品は何か?

サービス業や小売業などでは、

  • 主力商品が売り上げに占める割合
  • 仕入先
  • 掛け率
  • 売掛・買掛の期間(サイト)

上記などについても答えられるようにしておいた方がよいでしょう。また、仕入先は、できるだけ一社に絞らず、複数業者を用意しておくようにします。もし、特定の主力商品がない場合には、自分で想定した客単価などにもとづき説明します。

取り扱う商品やサービスの強み、他社と差別化できる点について

競合相手や懸念、経営課題、将来はどうしたいかといった成長戦略を説明してください。どんな会社でも経営課題があります。資金繰りや人材不足など、今の課題が何で、どう解決していくつもりかを表現した回答を用意しておきましょう。ネガティブな質問には、現状を受け止めていること、将来のビジョンも踏まえて、前向きに対処するつもりであることが伝わるように回答しましょう。

顧客の開拓方針について

顧客をどのように開拓していくのかも、聞かれる質問です。売り上げが上がらなければ当然、借入金の返済が困難になりますので、日本政策金融公庫側としてももっとも聞きたい質問になるかもしれません。この時点で見込み客がいる場合や、既に顧客がついている場合には、その旨を伝えましょう。これから顧客開拓をしていく場合には、どんな顧客開拓方法を持っているかを説明する必要があります。全ての開拓方法を説明し、最も自信のある方法を中心に話をするのが良いかと思います。

想定する月の売上げや経費の額はいくらか?

月ごとの予定売上けを考える際に気をつけるべきなのは、「根拠なく右肩上がりの数字にしない」ということです。通常、どんな商売でも季節的に売れる、売れないの変動(季節変動)やその業種特有の波があります。しかし、これを無視した計画は信ぴょう性の乏しいものとなってしまいます。売上げを作る際の注意点については、「創業融資を引き出す売り上げの作り方」の記事で解説していますが、例えば、座席についても常に満席にするのではなく、死席なども想定した計算式とする必要があります。

取引先はどういう会社なのか?

取引先の商号・本店・事業内容などの他に、そこからどの程度の仕入れや販売をする予定なのかを答えられるようにしておくのが望ましいです。なお、もし、仮にその会社に問題がある、非合法的なことをしているなどの場合には、審査の上でも大きな不利となります。

取引先や取引関係などを通して、売掛金の入金、買掛金の支払いサイクル

入ってくるお金、出ていくお金をきちんと認識しているかが判断される質問です。末締め末払いなど、現金の入出金サイクルをきちんと回答できるようにしておきましょう。

なぜ、計画通りの売り上げを達成できると思うのか?

このような質問をされた場合には、過去に行った同種の事業の経験から十分可能と考えていると説明します。また、できないことや経験がないものについては無理に「できる、頑張る」などと主張するのでなく、その点については他の人材にまかす、外注するなどといった現実的なプランを考えておきましょう。フランチャイズの場合には、本部から同程規模の店舗の平均的なデータをもらい参考にすると内容に信ぴょう性が増します。

営業に必要な許認可の見通しは?

飲食店の営業に必ず必要となるのは、保健所の営業許可と食品衛生管理者の資格なので、この2点については早めに対策をしておくべきです。しかし、保健所の営業許可は内装設備および電気、水道の開通ができた後でないと検査を行うことができませんので、この点については、工事会社との調整も必要となります。また、深夜営業をする場合には、これらとは別に「深夜酒類提供の届け出」を警察に提出する必要があるため、これについての予定も伝える必要があります。

申込金額について

「申込金額より減額になってしまうかもしれませんがどうですか?」と聞かれる場合があります。そのような場合は、「ここの予算を削れば大丈夫です」や「購入するのをやめてリースにします」など前向きな回答をしましょう。担当者の感覚と経験で「このくらいの融資金額だろう」と判断されてはいますが、面談の時点ではまだ正式に減額が決まったわけではないので、落ち込むことなく最後まで前向きに話せるようにしましょう。

以上が、主な面談時での質問とその回答内容となります。これらのすべてが質問されるわけではありませんが、最低でもこれらのことは聞かれる可能性がありますのでの、しっかりと頭に入れて面談に望んでいただきたいと思います。

面談後の流れ

面談後に審査が行われます。面談時に追加で書類を求められた際には追加書類を提出しないと審査が進まないことになりますので、注意が必要です。また、日本政策金融公庫との取引が初めての場合には、担当者が実際に事務所や店舗に調査に行きます。審査期間は状況によりますが、およそ2週間から3週間ほどはかかりますので、計画的に進めるようにしましょう。

無事審査に通過した場合、契約書類が郵送で届きます。契約書類に金額、金利、返済期間などの契約条件が記載されていますので、内容を必ず確認しましょう。契約書類に署名・捺印し、印鑑証明書など必要書類と合わせて返送すると、日本政策金融公庫に到着後3営業日後に指定した口座に入金されます。

まとめ


日本政策金融公庫の担当者との面談では、創業に関する質問や事業に関する質問に加え、借入状況に関する質問や資金調達に関する質問が想定されます。あくまでも一例ですが、日本政策金融公庫の担当者との面談が控えている人は参考にしてみてください。

【無料】起業相談会を実施しています。起業相談会申し込みはこちらから。
記事のお問い合わせは
下記メールアドレスにてお問合せください。

株式会社ベクターホールディングス
kigyou@vector.co.jp

カテゴリー

タグ

おすすめ記事

起業・開業 情報サイト
飲食開業 情報サイト
Vectorソフト販売サイト
Vector PCショップ
LINE公式追加はこちら
公式Twitter始めました