ベンチャーキャピタル(VC)からの投資決定までの審査の流れや必要書類とは?
ベンチャーキャピタルが投資検討時に、どんな審査をするのか分からないという方も多いかと思います。
ベンチャーキャピタル(VC)やキャピタリストなど、案件毎にやり方が違いますので、今回は、細かい審査項目ではなく、おおまかな流れをご紹介していきます。
そもそもベンチャーキャピタルとは?
ベンチャーキャピタル(VC)とは、ハイリターンを狙った投資を行う投資会社のことです。未上場の中でも、特に成長性が高いと見込まれる企業に対して出資(投資)を行います。
ベンチャー企業の株式などを引き受けることによって投資をし、その企業が株式公開するなどしたのち株式などを売却し、キャピタルゲイン(株式等の当初の投資額と公開後の売却額との差額)を獲得すること目的としています。一般的には、技術が革新的であったり、アイデア、ノウハウが優れていなければベンチャーキャピタル(VC)からの投資を期待するのは難しいのが現状です。
投資する資金については、自己資金を活用して投資するパターンと、投資ファンド(投資事業組合)を設立して投資家から資金を集めて、ベンチャーキャピタルがその投資ファンドのマネージャーとして未上場企業に投資するパターンがあります。
ちなみに、ベンチャーキャピタルがその投資する資金はどこから調達するのかというと、大きく2つあります。1つは、自己資金を活用して投資するパターンです。もう1つは、投資ファンド(投資事業組合)を設立して投資家から資金を集め、ベンチャーキャピタルがその投資ファンドのマネージャーとして未上場企業に投資するパターンがあります。
(参考記事)ベンチャーキャピタル(VC)とは?役割や特徴などを解説
投資決定までの審査の流れについて
ベンチャーキャピタルによっても投資に至るまでの流れは異なりますが、基本的には以下のように審査を進めていきます。
- 初ベンチャーキャピタルと接触&初回ヒアリング
- 要求された必要書類の準備
- 面談
- デューデリジェンス
- 契約内容の交渉
- 投資決定
それぞれについて説明します。
ベンチャーキャピタルと接触&初回ヒアリング
投資を受けるためには、当たり前のことですが、ベンチャーキャピタルと接触する必要があります。ベンチャーキャピタルは絶えず投資先を探していて、新聞、雑誌、ネット記事などを積極的にチェックしています。また、直接連絡がくることもありますし、さまざまな人脈から紹介を受けることもあります。
そしてベンチャーキャピタルの投資担当者とコンタクトをとり、事業の説明を行います。
要求された必要書類の準備
ヒアリング終了後、NDA(秘密保持契約書)を締結し、事業計画書や決算書などの必要書類を提出します。ベンチャーキャピタルはそれらの書類を確認し、経営者自身と面談など行って、投資可能か否かについて、審査・評価を行うことになります。
面談
投資担当者から改めて事業に関する質疑応答を受けます。このとき、実績等に関連するエビデンスの提出を求められることもあります。
デューデリジェンス
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、ベンチャーキャピタル等の投資家が、投資対象となるベンチャー企業の財務や法務、事業の詳細やそのリスク等をチェックするプロセスです。その企業の特徴によって、財務、税務、ITなどチェックが必要な分野も変わってきますので、各分野に応じた専門家にチェックを依頼することになります。
契約内容の交渉
デューデリジェンスの結果を踏まえ、ベンチャーキャピタルとスタートアップ企業間で、具体的な投資契約の交渉を実施します。
投資決定
無事投資が決定すれば、調印となり、契約完了です。
一般的には、初回ヒアリングから入金が完了するまでに、平均して半年前後、長ければ1年程度の期間が必要です。金融機関からの融資と比べると、資金調達が決定するまでの期間が長くかかることが分かるかと思います。
本格的に動き始める前から、ベンチャーキャピタル等の投資家と定期的にコンタクトをとっておけば、初回ヒアリングでのやり取りもスムーズになりますので、日ごろの情報収集を欠かさないよう、アンテナを張っておくようにしましょう。
審査に必要な書類
ベンチャーキャピタルの資金調達の場合、状況によっても異なりますが、以下資料の提出を求められることが多いです。
- 事業計画書
- 過去の財務諸表もしくは月次決算書
- 資金繰り表
- 取引先リスト など
資金調達をスムーズに進めるためには、これら資料を初回ヒアリング前に準備しておくことが重要です。ヒアリング後に作り始めてしまうと、予想以上に作成に時間がかかり、資金調達にも遅れが出てしまいます。特に、事業計画書では、具体的な事業の説明はもちろん、経営計画やどのように収益化するかの出口戦略を分かりやすく整理してまとめる必要があります。
金融機関から融資を受ける場合にも事業計画書が必要になりますが、ベンチャーキャピタルから資金調達を受ける場合、アピールするべきポイントが異なりますのでご注意ください。
まとめ
ベンチャーキャピタルは個々の会社ごとに方針が違い、起業間もない会社でも積極的に投資を行うベンチャーキャピタルもあれば、事業がある程度軌道に乗った会社を対象とするベンチャーキャピタルなど様々です。
ベンチャーキャピタルからの資金調達を成功させるためには、ベンチャーキャピタルの概要をよく理解し、知識を身に着け、税理士などのサポートを受けながら、納得させられるだけの説得力のある事業計画書を作成するようにしましょう。