起業時に日本政策金融公庫で融資を受ける場合、いくらまで借り入れできるのか?妥当な金額とは?
起業・開業して資金調達を行う際、頼りになるのが日本政策金融公庫の融資制度です。日本政策金融公庫は「銀行からの資金調達が難しい個人事業主や中小企業」に対して、積極的に融資を行っており、会社経営者や個人事業主に大変心強い存在です。ちなみに日本政策金融公庫の融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業になります。
起業時には多額の資金が必要となるので、できるだけ目いっぱい借入したいかと思いますが、自分(自社)の実力を超えて融資を申し込んでも満足のいく結果にはなりません。ただ、少なすぎるのでは、いざというときに資金が足りなくなってしまいます。
そこで今回は、起業時に日本政策金融公庫で融資を受ける場合、「いくらまで借り入れできるのか?」「妥当な金額とは?」について解説していきます。
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日本政策金融公庫の融資制度の上限額とは?
日本政策金融公庫の融資は、借りる目的や借りる方の状況により、利用できる上限額がある程度決まってきます。例えば、日本政策金融公庫で開業者が利用できる代表的な融資制度である「新創業融資制度」では以下になります。
- 融資限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
融資の制度で定められている最大限利用可能な限度額を「融資上限額」といいます。
重要なのは借入限度の枠
では、創業者の方なら、誰もがこの3,000万円を借りられるでしょうか?結論から言うと借入できません。一般的には、仮に3,000万円の申込みをしたとしても、実際には1,000万円以下の融資しかされないのが普通です。なぜこういうことになるかというと、3,000万円を借りるためには、金額に見合った事業計画や信用力などが必要となるからです。このように制度としての「融資上限額」とは別に、現状で、その人が借りられる最大の金額を「借入れ限度枠(与信枠)」といいます。
つまり、自分がいくらまで借りられるのかを知るためには、「融資上限額」ではなく、その企業の実力にもとづいた「借入れ限度枠」がいくらなのかを知る必要があるわけです。
創業融資の場合、融資金額は1,000万円以内で考えよう
事業融資(創業融資)は事業にいくら必要なのかという点とその金額が申込者の状況に見合っているのかを総合的に審査し、最終的に金額が決まります。
日本政策金融公庫、新創業融資制度の融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)と日本政策金融公庫のホームページに記載されています。しかし、1,000万円を超える申し込みですと、本店決済(支店で決済したのちに、本店での決済がされる)になり、格段に融資を受けられる可能性が低くなります。そのため、基本的には支店決済範囲内の1,000万円が実質の上限金額と考えるのが良いでしょう。
借入できる金額とは?
ここまで限度額についてお知らせしましたが、では条件によって借り入れできる金額はあるのでしょうか?日本政策金融公庫の融資は主に以下4点で可否が決定されます。
- ①自己資金の額(銀行通帳で確認できる定期的に貯められた預貯金がどれぐらいあるのか)
- ②諸経費の支払い状況(携帯電話、電気・ガス、税金などの支払いに遅延や滞納はないか)
- ③事業計画(きちんと収益を上げられそうな事業であるか、収益の根拠はあるか)
- ④事業経験(創業する事業に対して過去に勤務経験があるか(未経験ではないか)、事業に役立つ資格や受賞歴などはあるのか)
この条件をある程度満たした上で、自己資金の2~3倍程度、自己資金が200万であれば400~600万程度の融資借り入れが可能になってきます。ただし自己資金が800万あってもおおよそ1,000万までが借入限度額と思っておいて良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?起業時に日本政策金融公庫で融資を受ける場合、「いくらまで借り入れできるのか?」「妥当な金額とは?」について解説しました。
具体的な「借入限度枠」を知る上で一番手っ取り早いのは、「直接、金融機関(日本政策金融公庫)に聞いてしまう」という方法です。そのお客の計画書、データや過去の履歴など、取引先の金融機関では「その人に、あといくらまでなら貸せるか?」といった限度をかなり正確に把握しています。すべてのケースで使える方法ではありませんが、もし、使えるのなら最も手っ取り早い方法ですので、一度、チャレンジしてみてください。