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資本性ローンでビジネスを加速!そのメリット・デメリットを解説


資金繰りに悩む経営者は沢山います。資金が潤沢にあれば資金繰りに悩むことはないのかもしれませんが、起業時には自己資金が十分ではなく、銀行などの金融機関から融資を受けて資金調達をすることがほとんどです。資金調達としては融資が一般的ですが「資本性ローン」という選択肢もあります。無担保・無保証人、期限一括返済であるのが特徴です。

今回は、日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」についてご紹介します。

日本政策金融公庫『挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)』とは?

日本政策金融公庫の融資制度の中で、創業・新事業を行う企業に対する特例制度はいくつかの種類がありますが、資本性ローンは、新規事業・企業再生等に取り組む企業の財務体質強化のために、資本性資金を借り入れる制度です。「挑戦」という言葉があるように、少なからぬリスクが伴う事業展開に対してそれを支援するのが目的となっています。

一定期間、元本を返済しなくてもよい資金にはなりますが、期限がくれば返済が開始されます。一定期間、元本部分を返済しなくても良いため、当面の間、資金繰りが安定するという大きなメリットがあります。そして、基本的に融資は借入金になりますので、借入金が多くなれば、当然金融機関は追加融資に応じてくれませんが、資本性ローンは例外的に純資産として見なされるので、金融機関からの融資を受けやすいです。

当然ですが、資本性ローンはあくまで「借入金」であるため、返済が必要です。元本返済を据え置く期間が借入金よりも長期であるため、一時的には資金繰りが改善しますが、最終的に返済が必要な点は通常の借入金と変わりません。

デメリットは、通常の融資による借入負債の利子よりも一般的に高い利率が設定されています。(※赤字フェーズの場合には、利率が抑えられます)日本政策金融公庫の通常の融資制度は、大体2~3%の利子ですが、資本性ローンは返済期間にもよりますが、4~6%の利子が発生します。さらに、資本性ローンは、融資する側から見るとリスクが高いため、返済期間も通常の貸付金に比べて長く設定される場合が多いです。

負債を資本とみなしているだけで、本質的には財務状況そのものが改善されているわけではないので、十分検討した上で利用しなければいけません。

日本政策金融公庫『挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)』利用条件とは?

この制度を利用する条件は下記になります。いずれかを満たしている法人、もしくは個人企業であることが求められます。

  • 特定の融資制度の対象となる
  • 地域経済の活性化に係る事業を行う
  • 税務申告を1期以上行っている場合、原則として所得税等を完納している事

上記にあてはまる会社に対し、無担保・無保証、期限一括償還(別途、毎月の利息が必要)で提供されている制度です。

尚、「特定の融資制度の対象となる」については、資金力が乏しく債務超過に陥りやすい創業時に利用する「新規開業資金」などの下記①~⑩までのいずれかの融資制度の対象となる方になります。

①新規開業資金
②女性、若者/シニア起業家支援資金
③再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
④新事業活動促進資金
⑤中小企業経営力強化資金
⑥食品貸付
⑦普通貸付(ただし、⑥の対象者にかかる運転資金に限ります。)
⑧海外展開・事業再編資金
⑨事業承継・集約・活性化支援資金
⑩企業再建資金

その他の条件として、地方経済の活性化にかかる事業を行ったうえで税務申告を一期以上行い、原則として所得税を完納していることが求められます。こちらには地方経済の活性化を目的としているのが特徴です。こうした条件を満たしたうえで特例が求められると、無担保無保証で、最大で4,000万円の融資を受けることが可能になります。

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)詳しくはこちらからご確認ください。

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資本性ローンのメリット・デメリット

資本性ローンのメリット

無担保・無保証人

融資を受ける時には担保や保証人が気になります。担保・保証人が必須となると、担保となる不動産や保証人を探さなくてはなりません。経営者のみの保証人では足りない場合、第三者に保証人をお願いするのは難しいです。資本性ローンは無担保・無保証人なので安心して融資を受けやすいです。

借入金が金融検査上、自己資本とみなされる

資本性ローンは金融検査上、自己資本とみなされます。自己資本とみなされるということは、借入金=負債ではなく、借入金=純資産になるということです。負債ではなく自己資本とみなされると自己資本比率が上昇します。自己資本比率が高まると経営が安定していると判断されるので、融資を受けやすくなるなどのメリットがあります。

自己資本とみなされますが、株式に影響がないため株式比率が変更になることはありません。

利益が少ない時には低金利

資本性ローンは利益変動制の利率になっているため、利益が少ない時に低金利になります。創業時は経営の基盤が安定していなく、初期投資がかさみ損失になることも珍しくありません。

通常の融資であれば利益に関係なく一定の利率になり、利益がでていない時には利息の支払いが経営を圧迫します。利益の少ない時に低金利となるため、経営が安定する時期まで低金利になるということです。

資本性ローンのデメリット

業績が好調な時には高金利

利益が少ない時期には低金利になりますが、逆に利益が多い時期には高金利になります。貸付期間などによって利率は異なりますが、売上高減価償却前経常利益率が5%超になると利率は4.65%以上になるため、通常の融資よりも利率が高いです。

繰上げ返済ができない

資本性ローンは期限前返済が原則できません。繰上返済ができないため、業績が好調になると期限まで高金利で利息を支払うことになります。

あくまで借入になる

勘違いしてはいけないのが資本性ローンはあくまで借入です。金融検査上は自己資本とみなされますが、借入のため返済が必要になります。「自己資本だから返済の必要がない」と思い、期限直前に返済資金が足りなくならないように注意しましょう。

まとめ


通常の融資の場合、会計上、借入金の元本は経費ではないため、キャッシュアウトが生じても、課税される利益は減らず、キャッシュの裏付けのない利益をもとに税金が生じます。これにより、キャッシュはないのに税負担が生じることにつながり、多くの企業では、これが資金繰りを圧迫する要因のひとつになっています。

その点、資本制ローンは、借入期間中は利息のみの返済で、元本は借入期間終了後に一括返済すればよいため、飛躍的にキャッシュフローが改善されるという点で大きなメリットがあります。
ただし、「資本制ローン」の仕組みにより自己資本の増強は図れますが、あくまで金融審査上の自己資本であり、会計上の「資本金」が増えるわけではないので注意が必要です。

資本性ローンを受ける際には、事業計画書や税務申告書の提出を求められるので、税理士と相談しながら検討することをお勧めします。

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