【資金調達基礎知識】事業資金とはどんな資金なのか?
これから起業・開業を検討している方や現在事業を行っている方など、資金の準備を検討している際に目にする「事業資金」にどのような種類があるのか気になる方も多いかと思います。
そこで今回は、「事業資金とはどんな資金なのか」について解説していきます。また、事業資金の種類についてもご紹介しますので、ご参考にしてください。
そもそも事業資金とは?
事業資金とは、事業をはじめる際や事業の運営にかかわる全ての資金のことです。業種や事業規模によって必要な事業資金の金額は異なります。事務所の家賃や従業員の雇用に関する経費、店舗に導入する設備資金などが事業者によって異なるからです。
なお、事業資金は用途によって分けられます。以下でそれぞれの種類について説明していきます。
事業資金種類について
事業資金の種類は主に「開業資金」「設備資金」「運転資金」「季節資金」の4つに分けられます。それぞれについて説明していきます。
【事業資金種類①】開業資金
開業資金は読んで字のごとく、事業を開業するために必要な資金のことを指します。今は開業資金があまりなくても開業できるような時代ですが、それでも業種によってはある程度の開業資金が必要になることがあります。ある意味、開業資金は一番調達することが難しい資金です。融資を受けようにも実績がないため、なかなか融資を受けられず、結局友人、家族のお金でどうにか開業資金をまかなうというケースもみられます。
【事業資金種類②】設備資金
設備資金は、新しく工場などを建てる、機械を買うなどという資金で、スポット的に必要になる資金のことを指します。設備投資の資金は一般的に大きな額になることが多いので、金融機関としては、その設備を導入するメリット、本当に需要があるものなのか、収益性が改善するのか、売上が増加するのか、コストが削減できるのかなどを細かく検証していきます。なぜならば、設備資金の返済原資は、基本的にそれを稼働させることにより得られる利益になるので、金融機関としては利益を生み出せないようなものに対しては融資できないからです。
【事業資金種類③】運転資金
事業を継続するために必要な資金を総称して運転資金と呼びます。運転資金は事業の維持や売り上げの増減に対応するために必要になるお金です。運転資金と設備資金の違いは、継続的に必要な資金かどうかです。設備資金は設備の導入など一時的に必要になる資金ですが、運転資金は事業の運営で継続的に必要になる資金です。具体的には、従業員に支払う給与や仕入れ費用、事務所や店舗の家賃・光熱費などがあります。
【事業資金種類④】季節資金
季節資金とは運転資金の一種で、季節性のある商品を扱う商売をしている場合に発生する資金需要です。たとえば、スキー板を販売している会社であれば、一般的に秋~冬にかけて商品の販売が増えることが予想できます。このような場合、他の季節に比べて、秋〜冬の間に商売が増えると、資金需要も大きくなります。このように毎年のある一定期間だけ資金需要ができる商売をしている場合、季節資金として金融機関から借入を行う場合もあります。
事業資金の調達方法について
事業資金を調達する方法は多種多様であり、会社や経営者の事情に合わせて使い分けられます。もちろんどれか1つの調達方法に絞る必要はなく、十分な資金が調達できるように様々な方法を使ってみてもよいでしょう。ここでは、代表的な事業資金調達方法をご紹介します。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
融資による事業資金の調達
事業資金を調達する際に一番使われる方法は融資です。一口に融資といっても民間銀行や政府系の銀行、自治体、信用金庫、ビジネスローンなど様々な機関が行っており、当然機関ごとにその内容は異なっています。ただ、どの機関の融資でも審査があり、その審査を通過した場合だけ融資を受けることができます。
審査基準は公開こそされていませんが、基本的には融資を希望する会社の返済能力や実績、社会的な信頼などを見られることが多いです。事業資金の調達がしたいのなら、政府系の銀行がおすすめです。当然審査はありますが、政府系の銀行は中小企業やベンチャー企業のための融資を行っており、実績がなくても審査を通過する可能性が高いうえに金利も低くなっているので、資金調達の手段としてはかなり有効的です。
ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
ベンチャーキャピタル(VC)とは、ハイリターンを狙った投資を行う投資会社のことです。未上場の中でも、特に成長性が高いと見込まれる企業に対して出資(投資)を行います。
ベンチャー企業の株式などを引き受けることによって投資をし、その企業が株式公開するなどしたのち株式などを売却し、キャピタルゲイン(株式等の当初の投資額と公開後の売却額との差額)を獲得すること目的としています。一般的には、技術が革新的であったり、アイデア、ノウハウが優れていなければベンチャーキャピタル(VC)からの投資を期待するのは難しいのが現状です。
投資する資金については、自己資金を活用して投資するパターンと、投資ファンド(投資事業組合)を設立して投資家から資金を集めて、ベンチャーキャピタルがその投資ファンドのマネージャーとして未上場企業に投資するパターンがあります。
エンジェル投資家からの出資
エンジェル投資家とは、起業家のスタートアップを助ける個人投資家です。エンジェル投資家の多くは、現起業家、引退した起業家、M&A・IPOなどで会社を売却して資金を手に入れた実業家達になります。
通常、起業後まもない時期は、資金調達の面で苦労を強いられます。起業時は説明できる実績が 無いため、銀行や金融機関などの融資やベンチャーキャピタルの出資を受けにくいからです。こうした資金調達の問題を解決してくれるのが「エンジェル投資家」の役目です。
エンジェル投資家には、投資の見返りとして、株式などを提供します。エンジェル投資家は、友人などのケースは別ですが、何の利益も見込めないようなベンチャーに対しては基本的に投資はしません。 当然ですが、投資した企業が倒産すると資金回収は出来ませんので、通常の投資と比較すると極めて高いリスクを負うことになるわけです。
補助金/助成金
国や自治体、公的機関が設けている補助金・助成金制度を活用する方法もあります。補助金や助成金は融資制度とは異なり、返済義務がない点が大きなメリットです。一方で、補助や助成を受けるためには一定の条件があり、実際に資金を確保することは簡単ではありません。申請しても承認が下りず、補助や助成を受けられないということも珍しくないため、他の資金調達方法も検討しながら同時進行で計画を進めることが現実的です。
また、申請の手続きは非常に煩雑なため、申請のために事務作業の時間をかなり長めに割く必要も出てきます。そして採択されても着金が半年から1年後になる為、基本的に事業運転資金の資金調達方法としては難しい面があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた造語で、インターネット上で不特定多数の人から資金を集める仕組みのことです。個々の出資額がわずかな額でも、多くの人から出資を募ることでまとまった資金を得ることができます。利用するクラウドファンディング会社によって条件や手続きは異なりますが、 資金の使い道は、新規事業の立ち上げや、ものづくり、社会貢献、新規商品のPRなどさまざまな用途があります。
クラウドファンディングには大きく分けて、金銭以外のモノやサービスを特典として受けることができる「非投資型」と、金銭的なリターンを得る「投資型」の2つがあります。まず非投資型には「購入型」と「寄付型」があり、投資型(金融型とも呼ばれる)は「融資型(ソーシャルレンディング)」「ファンド投資」「株式投資型」に分類ができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、「事業資金とはどんな資金なのか」について解説しました。
事業資金は、創業にかかる資金や事業の運営を継続するために必要なすべての資金のことです。自己資金が不足した場合、事業資金を外部から調達することがあります。事業資金の調達には時間が掛かる場合があります。事業資金の内訳やこれからどの費用が必要になるのかを確認しておくようにしましょう。