事業承継の相談先はどんなところがあるのか?
事業承継を考え始めた時、誰に相談すればいいか迷う経営者は多いでしょう。事業承継の相談先は、公的な窓口以外にも数多く存在しています。どの相談先も中小企業の助けにはなってくれますが、相談先によってサービス内容やサポート内容は大きく異なるので注意が必要になります。
今回は、事業承継の相談先についてご紹介しますので、相談先の強みと弱みなどを事前に把握しておきましょう。
事業承継を相談すべき先とは?
では事業承継の悩みを相談する機関などを紹介します。事業承継の相談先で迷っている経営者の参考になるよう、それぞれの強み・弱みについてもまとめましたので、参考にしてみて下さい。。
弁護士や税理士などの士業
事業承継について一番多い相談先は顧問弁護士や顧問税理士になります。経営者にとって身近な存在である上に会社の内情を一番理解しているため、意思疎通が図りやすいためです。しかし、顧問になっている弁護士や税理士といっても事業承継について専門的な知識を持っているとは限らないので、事業承継に詳しくない場合は、事業承継専門のコンサルティング会社や公的機関などに相談しましょう。
- ○専門的な観点からアドバイスを受けられる
- ○M&Aに加えて、節税をサポートしてくれることも
- ✖相談料などの費用が高くつく
- ✖すべての事務所が詳しいわけではない
取引先の金融機関
取引先の金融機関は普段から顔を合わせているため、相談しやすい場合が多いです。また、事業承継を進めるにあたり一度は声をかける存在です。最近は事業承継に力を入れている金融機関が多いため、適切な対応や提携している専門家を紹介してくれる金融機関が多くなっています。ただし、担当者によっては融資を前提とした事業承継を進められたりする場合もあるため注意が必要になります。
- ○普段から付き合いがあれば、気軽に相談できる
- ✖結局は専門家を紹介される形になるため、二度手間になる
- ✖安易に紹介を受けると、断りづらくなる可能性も
事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター(中小企業庁の公的機関)
中小企業庁から委託を受けて実施している公的機関になります。事業引継ぎ相談窓口は全国47都道府県の各認定支援機関(商工会議所などの支援機関)に設置されており、事業承継に関する情報提供や助言を受けられます。また、事業引継ぎ支援センターは、事業引継ぎ相談窓口と同様の公的機関になり、現在は北海道、宮城県、東京都、静岡県、愛知県、大阪府、福岡県の7か所に設置しています。より専門的に事業承継のアドバイスを受けることができます。
- ○公平、公的な観点からアドバイスを受けられる
- ○無料で利用できる
- ✖仲介実績では、民間業者に劣る
- ✖専門家の支援を受ける形になると、コストが発生する
商工会議所
商工会議所は経営者向けのさまざまなサポートを実施しているため、会員は事業承継に詳しい専門家に無料で相談をすることができます。
- ○入会済みの場合は、無料で利用できる
- ✖積極的に相手企業を探してくれるわけではない
- ✖専門家の支援を受ける形になると、コストが発生する
M&Aのコンサルティング会社・仲介業者
M&Aにより承継させる場合の相談先にM&Aコンサルティング会社や仲介業者があります。M&Aは豊富な実績や経験が必要になる場合が多いため、M&Aの専門会社に相談するとスムーズに進めることができます。また、各士業と連携している場合が多いため、いろいろな相談に対応してもらえます。
- ○M&Aの実績が豊富
- ○独自のノウハウやネットワークを築いている
- ✖専門家と連携しているケースが多い
- ✖業者によって報酬体系が大きく異なる
相談先を選ぶポイントとは?
上述のように事業承継はさまざまな相談先がありますが、経営者は以下の点に注意しながら相談先を選定しましょう。
会計・税務・法務に詳しい
事業承継は様々な法律と税金の知識が絡むことが多いので、士業や事業承継専門のコンサルティング会社であれば税理士・公認会計士・弁護士・司法書士や行政書士などの各士業と連携しているか確認をした方がよいでしょう。
報酬額
事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センターや商工会議所は公的な機関のため、初回の相談料が無料の場合があります。最終的には専門家に依頼することになるため、そのとき報酬が発生しますが、事業承継について漠然としている場合は、まずこのような公的な機関に相談してもよいでしょう。また、M&Aの専門会社の報酬は成功報酬の場合が多いです。高額な取引が行われる場合は報酬が高額になりますので、あらかじめ報酬額については確認をした方がよいでしょう。
M&Aの実績がある
M&Aをする検討する場合はM&Aの実績が多くある会社に相談しましょう。M&Aは買い手の選定から条件交渉、従業員などへの説明、法務・税務の検証、そして契約書の作成など親族内の承継と比較して検討事項が多くあります。そのため、経験や実績のある会社でないと将来訴訟になり、M&Aをしたものの従業員が大量に退職してしまう可能性がありますので、実績のある会社を相談先にするとよいでしょう。
中小企業にとって経営者が変わることは想像以上に従業員や外部の取引先に与える影響は大きくなりますので、相談先の選定も重要になってきます。事業承継の相談先は年々増加していますが、相談先によって経験や進め方も変わってきますので、事前に相談先の特徴を確認したうえで相談するようにしましょう。その前に、経営者には相談するという行動をまず一歩踏み出してほしいと思います。
専門家との連携状況
事業承継には、法務的・税務的リスクが多数存在するため、専門家の存在は欠かせません。必要に応じて専門家に相談できる体制なのか、契約書等はしっかり専門家が確認する体制をとっているのか、デューデリジェンスでは専門家はどこまで関わってくれるのか、事前にチェックしておきましょう。「専門家と連携している」等ホームページでうたっていたとしても、実際にはすぐに相談できる環境にはない場合もあるため、注意が必要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、事業承継の相談先についてご紹介しました。
まずは情報を得たいと考えるなら、公的な支援機関である事業引継ぎ相談窓口や商工会議所が適しています。また、インターネットやセミナーを通じて情報を集めるのもいいでしょう。担当者との付き合いが長いなら、早い段階で金融機関や顧問弁護士・税理士に相談するのも1つです。
具体的になった場合には、事業承継は専門性がある為、出来れば仲介会社などのプロに任せることを検討しましょう。