あなたの薬局ビジョンを実現しよう!開業に必要なポイント
薬局の開業にあたり「どれだけ費用が発生するのか」「どんな許認可や申請が必要なのか」「自己資金では足りない場合の資金調達方法」など、色々なことを確認しておく必要があります。スムーズな開業準備、順調な店舗経営を実現するためにも、薬局の開業のために必要な知識をしっかりと身につけておきましょう。
ビジネスの特徴と開業方法
医業分業が進む中にあって、大手ドラッグストア等が調剤分野に進出しており、競争が激化しています。
最も一般的な起業方法としては、知人・友人の医師が新たに病院やクリニックや診療所などを開業するとき、その隣に薬局の店舗を建てることがあげられます。病院・クリニックにとって、その隣にある薬局は仕事を行う上で非常に重要な存在です。医者にとってみれば、隣の薬局があまり良い仕事をしない場合、結果として患者さんが逃げてしまいます。その結果、自分の病院・クリニックの売上に影響するようになります。そのため、「全く知らない人や大手チェーン薬局が調剤薬局を営むのではなく、知り合いの信頼できる薬剤師にぜひとも薬局経営してもらいたい」と考える医師は多いです。そのため、人脈を広げることで開業したい医師と知り合いになると、薬局経営できるチャンスが広がります。
その他として、大手チェーン薬局が実施している独立支援制度があげられます。経営者として薬局経営を視野に入れるとき、薬局チェーンのフランチャイズに入るという方法があります。フランチャイズであれば薬局経営のノウハウだけでなく、「どのようにして立地の良い場所を契約して薬局を開設するのか」の手法まで含めて、指導してくれます。
最後に、調剤薬局の後継者になるという選択もあります。首都圏であっても地方であっても、後継者がいなくて困っている薬局は存在します。特に地方では薬剤師不足が深刻化しているため、そうした後継者がいない薬局へ転職して事業継承すると、新規開業に比べて負担が軽くなります。
薬局とドラッグストアは違う?
薬局とドラッグストアの違いについてですが、一般的に薬局と呼ばれる「保険薬局(調剤薬局)」と、「○○ドラッグストア」「■■薬店」「△△薬品」と名のつく「店舗販売業」には、調剤業務ができるかできないかという点で大きな違いがありますのでご注意ください。
保険薬局(調剤薬局)
保険診療によって発行された処方箋に基づき、調剤業務を行うことのできる一般的な薬局です。店舗管理者に薬剤師を置く必要があります。
店舗販売業
医薬品の販売はできますが、調剤業務を行うことはできません。店舗管理者に薬剤師もしくは登録販売者を置く必要があります。
薬剤師と登録販売者の違いについて
登録販売者は薬剤師と異なり受験資格や試験内容がそれほど厳しくなく、広く取得のしやすい資格となっています。ただし、登録販売者は第一類医薬品の販売はできません。つまり、薬剤師のいない店舗販売業では、第二類・第三類の医薬品しか取り扱うことができません。
- 第一類
一般用医薬品としての使用経験が少ないなど、安全性上特に注意を要する成分を含むもの。
- 第二類
- 第三類
副作用などによりまれに入院しなければならないほどの健康被害が生じる可能性があるもの。
日常生活に支障を来すほどではないが、身体に不調や変調を起こすおそれのある成分を含むもの。
薬局の開業に必要な資格とは
薬局には薬剤師が必要ですが、必ずしもオーナー自信が資格を持っている必要はありません。店舗管理者として薬剤師を置くことができるのであれば、資格がなくても薬局をオープンさせることは可能です。ただし、調剤薬局を開業するためには、物件に関する基準や医療機関などと無関係であることなどの条件を満たす必要があります。内装についても、調剤室の広さなど細かい規定があるため、これらについて専門の工事業者と相談しながら進めていくのが良いでしょう。
開業する際は、管轄の保健所に薬局開設許可の申請を行って許可を得ます。また、処方箋を取り扱うためには、「保険薬局」の指定を受ける必要もあります。その他、関連法規として、薬事法、薬剤師法、健康保険法があります。
薬局の開業タイプ
基準薬局
日本薬剤師会では、かかりつけ薬局の選択基準となるように基準薬局制度を設けています。日本薬剤師会が定めた基準を満たして都道府県の薬剤師会の認定を受けた保険薬局は、「基準薬局」を名乗ることができます。ただし2015年3月31日をもって日本薬剤師会の制度としては廃止し、都道府県の薬剤師会ごとの制度に移行しています。
かかりつけ薬局
2016年4月より、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師の仕組みを盛り込むことが中医協より答申されました。「かかりつけ薬剤師」は、患者から同意を得た薬剤師が、市販薬も含めて患者の服薬状況を把握し、24時間体制で相談に応じる。必要に応じて患者宅を訪問して残薬の整理もします。
健康サポート薬局
かかりつけ薬剤師の基本的な機能を備えた上で、地域住民の健康づくりを積極的に支援する「健康サポート機能」を持つ薬局のことです。厚生労働大臣が定める一定の基準をクリアし、都道府県知事に届出を行った薬局だけが、健康サポート薬局と表示できます。
薬局チェーンのフランチャイズ
フランチャイズであれば薬局経営のノウハウだけでなく、「どのようにして立地の良い場所を契約して薬局を開設するのか」の手法まで含めて、指導してくれます。そして、本部のブランド力を利用することによって開業直後から集客が見込めることができます。また、広告宣伝を本部に任せられるなど、開業後も集客支援を受けられます。
立地や内装デザインは大事
周辺に総合病院などの大きな病院がある薬局は、それだけで一定数の集客が見込めるでしょう。そして「ここに入ろう」と思わせる、清潔感や安心感を感じられる外装を意識することと、調剤を待つ間も居心地よく過ごせる内装を意識することが大切です。
病院を訪れた患者がどう行動し、どこに目を留めて薬局に入ることになるのかといったことまで意識して立地や内装・外観デザインを決めていきましょう。
薬局の開業にはどのくらいの費用がかかるのか?
調剤薬局の開業にはどれくらいの資金がかかるのでしょう? 目安ではありますが、調剤薬局の開業に必要になるお金をまとめましたのでご確認ください。何にどれくらいの費用がかかるかを知っておくことは、資金計画を立てるうえで非常に重要になります。
- 保証金/賃貸料:2~10ヶ月分
- 仲介料(賃貸料1ヶ月分):10~30万円
- 内装外装工事費:300~500万円
- 調剤管理システム(分包機、レセコン、電子薬歴など):200~500万円
- 什器・備品費(薬剤棚、調剤台など):50~100万円
- 運転資金(調剤報酬3ヶ月分):150~300万円
- 薬品仕入:100万円~
- 社員・アルバイト広告費:15万円~
少なく見積もっても1,000万程度は用意しておく必要があります。自己資金で出来ればいいですが、大抵の場合、自己資金だけでは足りない事が多いです。その際に検討してほしいのが公的機関からの融資です。公的機関からの融資には、大きく分けて地方自治体が行う制度融資と、政府の管轄下にある日本政策金融公庫の融資があります。
薬局開業の為のおススメする資金調達方法
上記でご紹介しましたが、おススメする資金調達方法である「地方自治体が行う制度融資」と「日本政策金融公庫」についてご紹介します。
◆制度融資(地方自治体)
地方自治体が信用保証協会と連携し、中小企業を支援する目的で、独自の基準で行っている融資です。つまり、地方自治体によって、まったく融資の条件等が異なります。また、どの地方自治体でも、必ず求められる条件は次の2つです
- 中小企業者であること
- 信用保証協会の対象業種であること
具体的に、どのような条件で融資を受けられるかは、開業しようとする地域を管轄する役所に相談することをおすすめします。なお、どの地域であっても、制度融資を受けるまでは、次のような流れを経て手続きが進行します。
- 1. 自治体の窓口に相談に行く。
- 2. 自治体に融資あっせんの申し込みを行う。
- 3. 自治体から紹介状を発行してもらう。
- 4. 紹介状を持って、金融機関に行き、融資を申し込む。
- 5. 金融機関の審査(=面談)を受ける。
- 6. 信用保証協会に信用保証の申し込みを行う。
- 7. 信用保証協会の審査(=面談)を受ける。
- 8. 信用保証が実行される。
- 9. 融資が実行される。
◆日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は国が株式の全部を保有している、政府系の金融機関です。中小企業向けに、様々な支援サービスを提供しています。中小企業の新規創業にも積極的な支援を設けているのが特徴です。そのため、過去の実績がない場合でも比較的融資が受けやすいといえます。その他にも、次のような特徴があります。
無担保、無保証制度
多額の資金を調達するとき、担保の提供または保証人の指定が求められることは少なくありません。しかし、担保も保証人も用意できないこともあるでしょう。日本政策金融公庫の「第三者保証人等を不要とする融資」を用いれば、担保も保証人も不要です。
金利が低い
民間の金融機関で融資を受けた場合、会社の業績がよければよいほど、低い金利となります。言い換えれば、逆もありうるということです。この点、日本政策金融公庫では心配いりません。融資の種類によって、金利はきっちり決まっています。つまり、審査に通れば、財務内容にかかわらず一律の金利が適用されるのです。
固定金利
日本政策金融公庫の融資は、固定金利が原則です。つまり、返済が終わるまで、ずっと同じ金利で借りられるということ。そのため、中長期の事業計画、資金繰り計画が立てやすいというメリットがあります
借入期間が長い
民間の金融機関の場合、事業資金の融資期間は短いです。最短で半年、長くても数年で返済するのが一般的となっています。これに対し、日本政策金融公庫の場合は最長で20年に設定されています。長いスパンで返済計画を立てられるので便利です。
まとめ
薬局の開業には、特別な免許は必要ありませんが、実際の開業にあたっては、認可を得る条件を満たす物件探しや、様々な知識とノウハウが必要となります。薬局での起業を検討されている方は、専門家などに相談することをお勧めします。