銭湯での開業の資金調達方法をご紹介
銭湯は、地域に住む人たちの生活に欠かせない存在として長年重宝されてきましたが、近年は、その銭湯に対する需要が減少傾向にあります。
今回は、銭湯の基礎知識や開業資金調達方法について解説しますので、これから銭湯での開業を検討している方は参考にしてみて下さい。
銭湯の定義
銭湯とは、公衆浴場法で定められた「一般公衆浴場」のことです。もとは地域住民の生活を守る目的で一般公衆浴場(銭湯)が作られました。そのため温泉や娯楽施設などを併設するスーパー銭湯とは、いくつか異なる点があります。
例えば温泉は、温泉法によりお湯の温度や成分に決まりが設けられているのが特徴です。一方で銭湯は、あくまで生活上最低限の入浴を一般市民が行う目的で作られた施設であるため、温度や成分に決まりはないです。また、スーパー銭湯と比較した場合、娯楽施設や飲食施設の有無などはもちろんのこと、料金にも違いがあります。スーパー銭湯は自由に料金を決められますが、銭湯の料金は物価統制により、各都道府県ごとに決められ、施設基準や出店地の制限があります。
銭湯とスーパー銭湯は種類が違う!?
上記でも一部記述しましたが、銭湯とスーパー銭湯の違いは名前だけはありません。銭湯は普通公衆浴場に分類され、スーパー銭湯は特殊公衆浴場という種類に分類されます。
- 水道/下水道代がかなり減免される
- 自治体から修繕改修費などの援助を受けることができる
- 自治体から銭湯のイベント湯などの費用の援助を受けることができる
- 自治体で入浴料の上限が決められている
- 水道/下水道代は減免されない(普通の料金)
- 自治体から援助を受けることができない
- 入浴料の上限はない
普通公衆浴場(銭湯)は自治体からかなりの援助を受けることができます。逆に、特殊公衆浴場(スーパー銭湯)は自治体から援助を受けることができません。また、普通公衆浴場(銭湯)は自治体から援助を受けられるかわりに、設定できる入浴料の上限が決められています。特殊公衆浴場(スーパー銭湯)は設定できる入浴料の上限は特にないので、設定金額によってはかなり稼ぐことができます。
銭湯の開業での詳細な決まりごとについては、以下厚生労働省のページからご確認ください。
個人事業主or法人
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
銭湯開業の費用について
敷地購入する費用はもちろん、ある程度の面積、建設費が必要になりますので、必要初期費用は1億~2億程度はかかります。その為これから銭湯を開業しようとしている人は以下のポイントを押さえる必要がありそうです。
- 坪単価が安い住宅街などに作る
- シンプルな設計の銭湯にし、建設費用を抑える
当たり前のことですが、初期費用は抑えるに越したことはないのでかなり考えて銭湯を建てる必要があります。水道代については、銭湯の水道代は自治体から補助が出るのでかなり優遇されています。
銭湯経営の収益モデルについて
銭湯経営には、大きく分けて2種類の収益源があります。まず1つ目は入浴料です。前述でもお知らせしましたが、銭湯の入浴料は、都道府県ごとに上限が設けられています。上限以上の料金は設定できないため、より多くの売り上げを得るには利用客を増やす必要があります。
全国の銭湯の入浴料金は、各都道府県によって違い、県の協議会・審議会で審議され知事によって決定されています。2019年10月の消費税増税に前後して、多くの県で入浴料金の改定が行われました。ちなみに東京都は、大人(12歳以上)の入浴料金480円、中人(6歳以上12歳未満)の180円と小人(6歳未満)の80円です。
2つ目の収益源は、入浴以外のサービスになります。例えば、タオルやシャンプーの貸し出し、サウナの利用などで利益を得るのが一般的です。入浴料とは違いこちらには特段の制限は設けられていません。
上記2つの収益源によって得られた入浴料から水道代や電気・ガス代などの費用を差し引くことで1ヵ月あたりの利益が手元に残る仕組みです。入浴料金に制限が設けられているうえに、水道代や湯沸かしに必要なガス代などに多額のコストがかかるため、他のビジネスと比べると儲かりにくいビジネスモデルと言えます。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、銭湯での開業の資金調達方法について解説しました。
銭湯の経営は市場が縮小傾向にあるため決して簡単ではありません。しかし、付加価値の提供などにより十分な収益を得ている銭湯も少なからず存在します。工夫次第で成功する可能性のあるビジネスのため、興味がある人は自治体の助成金や立地などを考慮したうえで、ぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。