清掃業での開業の資金調達方法
清掃業はどの時代もニーズがあり、決してなくなることがない業種の一つです。ビジネスがうまく軌道に乗れば、自分の実力次第で年収アップも期待できます。
そこで今回は、清掃業での開業についてや開業する際の資金調達方法をご紹介します。
清掃業の仕事の種類
清掃業の仕事の種類は主にハウスクリーニング業、ビルや店舗の清掃業、特殊清掃業などに分けられます。ハウスクリーニング業は個人宅を訪れ、クライアントが希望する箇所を掃除します。1人暮らしの高齢者や、共働き家庭などを対象にハウスクリーニング業の需要はどんどん伸びています。ライバルも多い分野なので、ほかのハウスクリーニング会社とどこが違うのか差別化をはかることが大切です。
ビルや店舗の清掃業では、ハウスクリーニングに比べ掃除しなければならない面積が広くなるので、一人で対応するのは困難です。必要なスタッフを確保することがポイントとなります。また、定期的に掃除を依頼されるケースが多いので、一度クライアントと良い関係を築いておけば、安定した仕事の受注にも繋がります。ハウスクリーニングと同様、競合が多いので低価格に設定する必要があります。
そして特殊清掃業では、亡くなった方の部屋や家を専門的に掃除します。高齢者の一人暮らしなど、部屋で誰かに看取られることなく孤独死するケースも年々増えています。亡くなってから発見が遅れた場合、遺体によって床や壁紙などが汚れることもあります。また、高齢者の孤独死の場合、部屋が散らかっているケースも多く、壁紙や床材の張替えなど大掛かりな清掃になるパターンもあるので留意しましょう。
清掃業での開業形態
清掃業で独立して開業するにはどうしたらよいのか、調べている方もいるでしょう。ここでは清掃業で独立して開業する方法についてご紹介します。
個人で開業する
すでにある程度の知識があり、独自のノウハウを持っている場合は個人で開業するのも選択肢の一つです。個人事業主のメリットは法人化しないために独立開業のハードルが低いという点にあります。売り上げが増えてくると、法人化した方が納税する額が少なくなるため、将来的には法人化も視野に入れておきましょう。
個人で開業する場合は、自分でしっかりと宣伝をしクライアントに向けてアピールするテクニックも必要となります。ホームページを作成したり地域でチラシを配ったりするなど、地道な努力も大切です。
フランチャイズ契約をする
清掃業に関するノウハウが少なく、学びながら開業したいという場合には、フランチャイズ契約も一案です。フランチャイズ契約とは、フランチャイズに加盟する方が、フランチャイズ本部から、店の名前と看板、さらにすでに確立されたサービスや商品を使う権利をもらい、その使用料をフランチャイズ本部にロイヤリティという形で支払う仕組みです。
有名な清掃会社の名前を借り、その会社のノウハウに沿って事業を展開していくので、集客に不安があったりどういったサービスを提供していけばよいのか分からなかったりする場合に有効です。フランチャイズでノウハウを学び、後に自分なりのビジネスを展開していくのも一つの方法です。
清掃業の開業する際の資格
ハウスクリーニングだけなら開業届を提出すればいい
個人事業主としてハウスクリーニングなどのいわゆるビルクリーニング以外の事業をする場合は、税務署に開業届という書類を提出するだけですぐ始められます。そして、確定申告の時期に確定申告をすればいいのです。
ハウスクリーニングをするのに必要な資格や許認可はありません。あえて言うなら、お掃除業を営む方は今非常に多いので、他者に勝つために資格(ハウスクリーニング技能士など)があった方が宣伝やネタにはなるかもしれません。
ビルクリーニングではビルクリーニング技能士が必要
ビルクリーニングを行う事業を行うのであれば、法律で定められているため「ビルクリーニング技能士」の資格を取る必要があります。この資格がないと、事業としてビルクリーニングの仕事を委託することは法律違反となります。
この資格は基礎1または2級(外国人向け)と初級である3級、2年以上の実務を持つ2級、実務5年以上などの多数の条件がある1級があります。以下のURLをクリックすると、試験の概要をご覧いただけます。
建築物清掃を行う場合は清掃作業監督者が必要
ビルだけではなく、その他の建物の清掃も請け負う場合には清掃作業監督者の資格が必要です。この資格は、ビルクリーニング資格とともに、国家資格です。この資格ととるためには、前述のビルクリーニング技能士の1級を取得しなければいけません。
開業する場合のその他手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
開業資金の目安
一般的に清掃業は、開業資金は低く済みます。清掃業の開業に必要なのは従業員の雇用にかかるお金、宣伝にかかるお金(WEBサイトやチラシ代)、移動に必要な車(自家用車可)、そして一番の商売道具である清掃用具代金のみで最低50万円~100万円ぐらいから開業自体は可能です。
開業後の運転資金にも余裕を持たせておくため、300万程度あればなおいいでしょう。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
清掃業で最近需要が増えてきているのは、シニア向けの清掃業です。生協やNPO法人などの代理店を通して申し込むお年寄りが大変増えています。シニア層に割安で丁寧で安心できる清掃サービスを提供し定期的な受注が見込めると、事業としてどんどん伸びていくでしょう。
また、共働きも増えているため個人宅、特に子育て世代のハウスクリーニングの需要も増えていくことでしょう。