業種別低金利融資解説:生活衛生貸付とは?
日本政策金融公庫の融資制度の中で「生活衛生貸付」という融資があります。
生活衛生貸付とは、日本政策金融公庫が行っている国民生活事業の事業資金融資のことです。この融資制度の対象者は「生活衛生関係営業者」となっており、具体的には飲食業では喫茶店・スナック・バー・専門料理店など、販売業では食鳥肉販売店・食肉販売店、サービス業では理容店・美容店・クリーニング店・ホテル・旅館・興行場・公衆浴場になります。
今回は日本政策金融公庫の融資制度である「生活衛生貸付」について解説します。
生活衛生貸付の対象業種
以下のような事業が日本政策金融公庫「生活衛生貸付」の対象になります。
- 飲食店営業(ラーメン店、すし店など)
- 喫茶店営業(喫茶店など)
- 食肉販売業(食肉販売業、食鳥肉販売業)
- 氷雪販売業(主として氷を小売・卸売する営業)
- 理容業(理髪店、床屋など)
- 美容業(美容室・院、結髪業、ビューティーサロン)
- 興行場営業(映画館、劇場、シアターなど)
- 旅館業(旅館・ペンションなど)
- 浴場業(一般公衆浴場業、サウナ営業)
- クリーニング業(クリーニング業、貸タオル業、リネンサプライ業など)
- 理容師養成施設・美容師養成施設(理容学校、美容学校)
これらの事業を開業するにあたり、設備だけで多額のお金がかかります。そこで役に立つのが生活衛生貸付になります。創業融資でも申請数が多い飲食店、美容、スナック・バーの方はこの融資制度を受けている方が多いです。
生活衛生貸付の融資制度
生活衛生貸付には主に以下の融資制度があります。
一般貸付
新規開業したい方やおおむね開業後7年以内の方に向けての設備資金への融資制度です。
生活衛生関係の事業を営む方に対する設備資金の為の融資になり、運転資金での融資はありません。設備資金とは、店舗を借りる費用や内装工事や設備工事費用など、いろいろな初期費用のことです。
比較的低い金利で融資を受けることができ、返済期間が13年以内(据置1年以内)となっているため、経営しながらの返済計画を立てることができるでしょう。
利用条件
生活衛生関係の事業を営む方および理容学校・美容学校を経営する方
資金用途
設備資金
融資限度額
飲食店営業、喫茶店営業、食肉販売業、食鳥肉販売業、氷雪販売業、理容業、美容業、その他公衆浴場業:7,200万円
一般公衆浴場業:3億円以内(2施設以上の場合4億8,000万円)
旅館業:4億円
興行場営業、サウナ営業:2億円
クリーニング業:1億2,000万円
返済期間(うち据置期間)
13年以内(1年以内、返済期間が7年超の場合2年以内)
[一般公衆浴場業は30年以内]
細かな詳細については。(出典:株式会社日本政策金融公庫ホームページ「一般貸付」)からご確認ください
振興事業貸付
振興事業貸付の融資制度受ける条件は生活衛生同業組合の組合員であることになります。融資申込と同時に組合員の申請をすることができます。組合に加入すれば組合費はかかりますが、ある程度の融資額を借りる方であれば、利息が下がるメリットが上回る方が多いです。
一般貸付は借りる目的が「設備資金」のみが対象ですが、振興事業貸付は設備資金だけでなく運転資金の融資もあります。
利用条件
生活衛生関係の事業を営む方であって、振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員
資金用途
設備資金及び運転資金
融資限度額
[設備資金]
飲食店営業、喫茶店営業、食肉販売業、食鳥肉販売業、 氷雪販売業、理容業、美容業:1億5,000万円
一般公衆浴場業:1億5,000万円
(一般貸付とは別枠)
旅館業、興行場営業:7億2,000万円
クリーニング業:3億円
[運転資金]
全業種:5,700万円
返済期間(うち据置期間)
設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金:7年以内(2年以内)
細かな詳細については(出典:株式会社日本政策金融公庫ホームページ「振興事業貸付」)からご確認ください。
生活衛生貸付の中の「一般貸付」の方が利用者が多く、一定の条件で受けることができる「振興事業貸付」の方は「一般貸付」よりも利用者が少ないのが現状です。
どんな手続きが必要なのか
生活衛生貸付を受けるには、各都道府県の「生活衛生営業指導センター」にて申込をします。
- 見積書
- 事業計画書
- 借入申込書
- 不動産賃貸借契約書
- 事務所・店舗の見取り図
一般貸付の場合は、都道府県知事の「推薦書」が必要になりますので、「推薦書交付願」という書類と、「衛生管理の状況について(様式A)」という書類も必要になります。但し、借入申込金額が500万円以下の場合は、不要です。
まとめ
生活衛生貸付は、現在、生活・衛生関係のお仕事をされている方だけでなく、理容学校や美容学校を経営される方も使える資金となっています。日本政策金融公庫には数多くの融資制度がありますし、同じ融資制度でもその時々で金利の変動もありますので、興味がある方は、日本政策金融公庫のHPをチェックしてみてください。