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個人タクシーでの開業の資金調達方法


現役タクシードライバーの方やその他の方でも、個人タクシーとして独立したいと考えている方もいるでしょう。個人タクシーであれば、営業収入はすべて個人の売上になり固定シフトも無く、とても自由な働き方ができる魅力があります。ただし個人タクシー事業者になるには年齢や勤務年数など、状況によって必要な条件が変わってくるため注意が必要になります。

当記事では、個人タクシーでの開業や開業の際の資金調達方法について解説していきます。

意外と面倒!?個人タクシーでの開業

実際に個人タクシーをはじめたいとしたら、どうしたらよいのでしょうか。自動車の用意や普通免許の取得はもちろんですが、基本的に以下が必要になってきます。

  • 新規の許可を受ける
  • 個人タクシーの許可を受けている事業者から事業の譲渡を受ける
  • 個人タクシーの事業を相続する

個人タクシー経営者になるためには、新規の許可を受ける方法と、現に個人タクシーの許可を受けている事業者から事業の譲渡を受ける方法と、個人タクシーの事業を相続する3通りがあります。

まずは、個人タクシーの開業資格「一般乗用旅客自動車運送事業」の許可を受ける方法です。地方運輸局が実施する、安全および接遇の試験にて合格する事が必要になります。新規に許可を受けようとする場合には、あらかじめ許可を受けようとする営業区域を管轄する地方運輸局に詳細を確認してください。

2つ目に、現に個人タクシーの許可を受けている事業者からの事業の譲渡を受ける場合には、譲渡人と譲受人の双方で事業の「譲渡譲受契約」を結び、認可を受けようとする営業区域を管轄する地方運輸局に譲渡譲受認可申請を提出することになります。

最後に、譲渡譲受に似ていますが、個人タクシー事業を営んでいる事業者から、個人タクシー事業を「相続」する方法になります。

なお、新規許可、譲渡譲受認可申請、相続のいずれにおいても、「資格要件」を満たす必要があります。

個人タクシー開業の資格要件

タクシー事業の許可基準は道路運送法第6条第1項に規定しているほか、国土交通省の通達「一般旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る)の申請に対する処分に関する処理方針」に基づき、各地方運輸局では具体的な「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る)の許可および譲渡譲受認可申請事案の審査基準」を公示しています。この審査基準は、地方運輸局ごとで多少異なる点がありますので、該当運輸局の公示を確認してください。個人タクシーを開業する際に、基本的な必要となる資格要件は以下の通りです。

  • 申請日時点で65歳未満
  • 有効な第2種(普通か大型)免許を持っている
  • 10年以上のタクシー等の運転経歴がある
  • 法令違反がない
  • 事業計画に無理がない
  • 健康状況に問題がない
  • 事業所や駐車場を用意できる

これら全てを満たすように準備をしておく必要があります。

個人タクシー申請に必要な運転経歴は年齢・営業区域によって異なります

運転経歴については、年齢に応じて次のような条件があります。
 

個人タクシー申請時の年齢と運転経歴の要件

①35歳未満

  • 申請する営業区域内で、10年以上継続して同じタクシー・ハイヤー会社に雇用されている
  • 申請日を含め、過去10年間は無事故・無違反である

②35歳以上40歳未満(※1)

  • タクシーなどの運転業務を専業として雇われていた期間が10年以上ある(※2)
  • 上のうち、タクシー・ハイヤーの運転期間が5年以上ある
  • 申請する営業区域内で、タクシー・ハイヤーの運転経験が申請日を含めて3年以上ある

③40歳以上65歳未満

  • 過去25年間のうち、自動車運転業務を専業として雇われていた期間が10年以上ある(※2)
  • 申請する営業区域内で、タクシー・ハイヤーの運転経験が3年以内に2年以上ある

※1:申請日まで10年間無事故・無違反の人は、③の要件があれば大丈夫です。
※2:タクシー・ハイヤー・バス以外の運転者だった場合、経験期間は50%として換算。

地域によっては、「②」と「③」の区別がなく、35歳以上65歳未満に対して「③」の要件が適用されるところもあります。

個人タクシー開業の必要書類

許可を取るために必要な主な書類は、以下の通りになります。これらを揃えて、最寄りの運輸支局に申請に行きましょう。

  • 運転免許証(二種免許)
  • 住民票
  • 戸籍謄本
  • 試験の合格証書
  • 営業所および車庫に関する資料(賃貸契約書など)
  • 事業用自動車の資料(契約書やリース契約書)
  • 健康診断書
  • 自動車保険契約申込書のコピー
  • 預貯金通帳のコピー

これらの書類を揃えてから、予定する営業エリアのある運輸支局に申請します。健康診断書など、受け取りまで時間を要する書類もあるため、申請日の2週間から1ヶ月前を目安に準備をはじめると良いでしょう。

個人タクシーには組合がある?

全国各地に個人タクシーの協同組合があります。個人タクシーを開業するには、まず試験に合格し、そのうえで各種申請手続きなども行なわなければなりません。協同組合に加入していると申請手続きのアドバイスを貰えるだけでなく、代行してもらうこともできます。

加えて、チケットやクーポン、無線配車など協同組合が提供するサービスの利用も可能になるので仕事の幅が広がるでしょう。協同組合の加入は任意ですが、すべてを一人で行ないながら収入を上げていくのは困難です。開業後に順調に売り上げを伸ばしていくためにも組合への加入を検討しましょう。

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個人タクシーに必要な資金について

個人タクシーの事業者になるためには、車両の購入が必要です。費用は数百万円程度かかります。ほかにも事業を行うために必要な設備導入や運転資金の準備が必要です。

そのほかに、万一、事故を起こしてしまったときに備え、自賠責保険の他に任意保険や共済にも加入しておいたほうがいいでしょう。忘れないように保険の支払いにかかる年間額も計算に入れておくことが必要です。

以上のことから、個人タクシーの開業するためには総額で車両購入含めて300万円以上の資金を用意することが必要になってくるでしょう。

開業資金をどこから調達すればいいのか?

開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の3つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人に対して積極的に融資しているのが特徴です。

一般的な創業者に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は117万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は877万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下の小規模事業者です。

創業者向け融資制度である「新規開業資金」は、営業実績が乏しいなどの問題を抱える、幅広い方の創業・スタートアップの資金調達を重点的に支援しています。

信用保証協会付の融資

「信用保証協会」という公的機関に保証人をしてもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者でも民間金融機関から融資を受けるられる可能性が高くなります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの保証制度を設けています。

手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。金融機関による融資審査もあるので、金融機関と信用保証協会の双方の承諾が必要となります。

親族、友人・知人からの借入

親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。

その他注意点として、借入ではなくお金をもらう場合には、110万円を超える金額については贈与税の対象となります。

まとめ


簡単にできそうだなと思われがちな個人タクシーですが、資格取得や要件が細かく一筋縄ではいきません。個人タクシーの開業について検討しているのであれば、ぜひ今回解説した内容を参考にしてみてください。

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この記事を書いた人
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当記事の監修者:v-spirits 中野裕哲
起業コンサルタント®、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、CFP®、大正大学招聘教授(アントレプレナーシップ論、ファイナンス基礎)起業コンサルV-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本処に全国の起業家・経営者さんを支援! 「あの起業本」の著者。著書・監修書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAM GATE」で12年連続相談件数日本一。 【まるごと起業支援®・経営支援】 起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)などHPリンク:https://v-spirits.com
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