古着屋での開業の資金調達方法
古着が好きで古着屋を開業したいと思っても、すぐに店舗を営業できるというわけではありません。資金や資格、準備期間が必要であり、念入りな準備をしなくてはいけません。
そこで今回は、古着屋での開業についてや開業に際しての資金調達方法をご紹介します。
古着屋開業に必要な許可について
中古品を取り扱うには、「古物商許可」という許可が必要になってきます。古物商許可は資格ではないので、勉強したり試験を受ける必要はありません。手続きは、「住民票」「身分証明書」「誓約書」「略歴書」「商売を行う店舗の賃貸契約書のコピー」「必要手数料」などを用意して、事業を営む管轄の警察署で行います。申請手数料は19,000円、申請してから大体1週間~40日程度で許可が下ります。もっとも、これは資格ではないので明らかな不具合がない限り、不許可になることはないでしょう。
中古品を取り扱う時に古物商許可が必要なもの
美術品類・衣類・時計・宝飾品類・自動車・自動二輪車及び原動機付自動車・自転車類・写真機類・OA機器類・機械工具類・道具類・皮革類・ゴム製品類・書籍・金券類 に該当する中古品を事業として販売する場合は、「古物商許可」の申請が必要になります。
開業の手続きについて
古着屋で開業する場合、一般的には個人事業主で最初ははじめ、多店舗展開やお店の売り上げが上がってきた段階で法人を検討するケースが多いです。
個人事業主であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをします。
古着屋の開業に必要な資金
古着屋の開業資金としては、店舗を確保するための資金、古着を仕入れるための資金、さらに備品をそろえるための資金と人件費が必要になります。それぞれを合計して、最低でも300~500万円程度は用意をしておかなければなりません。
店舗を確保するための資金
古着屋を開業するためにはまず店舗を確保しなければなりません。店舗を借りる際は毎月の家賃だけではなく、敷金、礼金、さらに仲介手数料なども必要になります。場合によってはリフォームをしたり、改装することでさらに資金が必要となります。1坪1万円、15坪程度の土地を借りる場合は、敷金礼金などを含め最初に120万円程度かかります。古着屋の開業資金の約半分ほどは店舗を借りるための資金になると考えておきましょう。
古着を仕入れるための資金
古着屋を開業するにはまず大量の古着をそろえる必要があります。商品の品ぞろえが良いという印象を持ってもらうためにも、最初に1,000~2,000着ほど用意しておくのがいいでしょう。仕入れ方法については、卸し業者から購入する、安い古着屋から仕入れる、メルカリやヤフオクで仕入れるなど仕入れの方法はたくさんあります。海外から買い付けているという古着屋もありますが、この場合は資金がさらに大量に必要になるため初期費用をおさえたい方にはおすすめしません。仕入れるための金額も高額になり、売れないリスクも高いため、最初から海外買い付けをおこなうことは避けたほうが良いでしょう。
備品をそろえるための資金
古着屋を経営するためには、レジスターや金庫などの備品が必要になります。最近はスマホやタブレットを使って会計ができるシステムを導入している店舗も多いので、レジスターを購入するのとタブレットを購入するのと、どちらが経済的かを考えてから購入するようにしましょう。タブレットで会計をする場合でも現金を管理する金庫は必要です。さらに、古着を陳列するための什器、棚、ディスプレイに必要なアイテム、インテリアなども必要になります。ボールペンなどの文房具を含めたこまごまとした備品も、店舗の開業には必要です。あとから必要な備品が出てくる可能性も多いので、備品代については多めに見積もっておきましょう。
スタッフの採用・賃金
古着屋を開業するには、同じく古着が好きなスタッフを採用する必要があります。求人を出すには十万円以上かかることが多く、良い人材がいなかったとしても広告費用などは必要です。SNSを利用してスタッフを募集するという方法もありますが、ある程度知名度がなければ難しいと言えるでしょう。また、採用条件も古着が好きというだけでは物足りないです。オープニングスタッフにふさわしい、古着についての知識が豊富にある、接客経験がある、古着屋での勤務経験がある、さらにシフトにしっかり入ってもらうことができるというスタッフを見つけられるようにしましょう。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、古着屋での開業についてや開業に際しての資金調達方法をご紹介しました。
古着屋の開業には初期費用や資格の申請、さらに準備期間や店舗選びの知識なども必要になってきます。スケジュールを立てて、計画的に開業に向けて準備を進めていくようにしましょう。