フランチャイズ起業家必見!融資申請の際の注意すべきポイント
経営ノウハウがなくても、本部のマニュアルに従って運営することができるフランチャイズは、起業・開業を検討されている方にとっては魅力的な方法と言えます。コンビニや飲食店などフランチャイズ展開しているビジネスはたくさんあります。
フランチャイズのネームバリューやノウハウがあれば、集客に苦労する事は少ないかもしれませんが、それだけで事業が上手くいくとも限りません。また、フランチャイズに加盟し、融資を受けて事業をスタートする場合、注意すべき点がいくつかあります。
今回は、フランチャイズで創業される方が融資を受ける際の注意点について紹介します。
フランチャイズとは?
フランチャイズとは、フランチャイズに加盟する人・法人が、フランチャイズ本部から、お店の看板、確立されたサービスや商品を使う権利をもらい、その対価(ロイヤリティ)をフランチャイズ本部に支払うという仕組みです。
フランチャイズ本部は、新しいオーナーを随時迎え入れ、短期間で成果の出る店をつくっていきます。仕入れ・販売・集客・採用・商品開発など、ビジネスを行う上で必要な各要素を、パッケージにすることで、未経験からでもしっかりとビジネスを行うことができるように構築された仕組み、それがフランチャイズです。
それぞれのノウハウは専門的な知識と経験が必要なものですが、加盟店はそのノウハウを、一度に手に入れることができます。ノウハウを受け取る代わりに、加盟店オーナーは「ロイヤリティ」を本部に支払うビジネス構造となっています。
フランチャイズの業種は様々!?
フランチャイズは主に以下の業種で展開しています。特に人気なのが、「小売・コンビニ」「飲食業」です。
- 小売・コンビニ
- 飲食業(外食・宅配・テイクアウトなど)
- 教育・塾・スクール
- 修理(リペア)・清掃
- インターネット・携帯電話
- 理美容・フィットネス・整体
- 介護
- 買取販売(ブランド・貴金属)
- その他
比較的専門的な知識も必要なく始めやすい業種であるため、フランチャイズの業種の中では人気があります。
居酒屋やファミレスなどのチェーン店から小規模の喫茶店、移動販売など、一口に飲食といっても様々な種類があります。オーナーが自ら調理を行う場合もありますが、調理はスタッフに任せて経営だけに専念することも可能です。
学習塾や家庭教師、パソコン教室、その他のスクールの運営を行います。大規模な塾から、個人で隙間時間などを活用して副業として開業をすることも可能です。
靴修理、リフォーム、 ハウスクリーニング、自動車整備工場、家事代行などの業務を行います。小さな規模で回転できるお店から、大規模な設備などが必要な業種まであり、専門分野で手に職をつけたいという方に向いています。業種によっては専門的な知識や能力が必要になる場合があります。
スマートフォンの修理や、携帯の販売、Webサイトの運営などを行います。最近ではアプリの広告代理店などもあります。やや専門的な知識が必要な業種もあり、前職などの経験を生かす場として加盟される方も多いです。
フィットネスクラブやリラクゼーション、マッサージ、エステなどが挙げられます。フィットネスクラブやジムなどはある程度の店舗面積が必要になるため、個人で加盟を希望する方は少なく、法人の方が多いです。マッサージやエステなどは省スペースでできる事業では、女性もオーナーとして活躍しています。
老人介護ホームから、特別支援学校まで、介護を必要とする人をサポートする事業です。これからの超高齢化社会を考えるとかなりの需要が見込まれる業種です。国の制度のもとで展開する事業やペットの介護といった珍しい事業もあります。
主にブランドや、貴金属を買取り、販売を行います。1人でも開業することが可能で、大きな店舗も必要ないため、個人の方の加盟も多いです。基本的に、未経験でも始められるので、脱サラをされた方も多く開業しています。
不動産、住宅 、防犯、コインランドリー 、セキュリティ 、ペットショップ、ペット関連 広告、メディア 便利屋、 結婚相談所、ネットカフェ、 宅配、軽運送など様々な業種がフランチャイズ展開をしています。
フランチャイズだからといって融資が有利不利はない!?
創業融資を受ける際には、フランチャイズに入っていても入っていなくても根本的に有利である・不利であるということはありません。
たしかに、フランチャイズは最初からノウハウが手に入り、事業開始後も本部から継続なサポートが受けることができますが、初期費用が多くかかり、事業開始後も継続的に本部への経営指導料・手数料(ロイヤリティーなど)を支払う必要があるなど、コスト負担が、独自で独立してやるよりも大きくなるからです。
もちろん、フランチャイズだから融資が通らないということもありませんが、どちらかというと、フランチャイズでの融資は状況によって難しいケースも多くあります。
フランチャイズで融資が難しいケースとは?
一般的に、起業・開業資金の外部調達先として最も利用率の割合が高い日本政策金融公庫では、「経営者の過去の経歴・経験」「自己資金」「信用情報」「創業計画書」の4つを中心に融資審査が行われます。
フランチャイズは、加盟金を支払うことで未経験でも事業をスタートすることができるという点が大きな特徴になりますが、日本政策金融公庫の創業融資は、経験のない事業での創業に対する融資はかなり厳しく、融資を受けることが難しいケースが多いです。これは、創業しようとする事業の経験がある方の方が、ノウハウや知識を活かし、事業を成功させる可能性が高いと判断されるためです。
フランチャイズはノウハウなどを提供してもらえるから、問題ないと思われるかもしれませんが、本部のノウハウやマニュアルの通りに必ず利益がでるという保証があるわけではありません。経営者の方の経験値によって、事業の成功は大きく変わります。全く経験はないが、本部のノウハウやネームバリューがあれば大丈夫と考えている場合には、事業をスタートさせる経営者として「他力本願だ」と判断されてしまう可能性があります。
更に、フランチャイズの加盟料によりますが、開業資金が全くの独立から始めるよりも当然大きくなります。例外はありますが、創業融資を受けるうえでの上限は開業資金(自己資金+融資金額)が1,000万円未満というのが一つの基準になっています。フランチャイズに加盟すると、通常は開業資金が1,000万円を超えるため、難易度が上がります。また、開業資金の1/3以上は自己資金でカバーすることが理想になりますので、例えば開業資金が1,500万円必要であれば、500万円程度は自己資金を用意することが理想となります。その金額が自己資金として用意できないと、そもそもフランチャイズの加盟ができないといった事がありますし、ちょうど融資+自己資金で1,500万用意できたとしても、その他に運転資金や生活費を残していおかなくてはいけませんので、そもそも開業するには無理が出てきます。
フランチャイズで融資を受ける場合の留意点
まずは、知名度の低いフランチャイズ本部の場合は、それを補うようにしっかりとした事業計画を作成してアピールすることが重要です。また、融資担当者は、フランチャイズ本部が大手コンビニチェーンのような大手ではなく、中小企業の場合、その企業の財務状況を気にします。融資先の事業が好調であったとしても、フランチャイズ本部が倒れた場合には、融資先も共倒れになってしまうからです。創業融資を受ける場合には、契約前にフランチャイズ本部から財務状況がわかる資料(例えば税務申告書)を見せてもらうようにしてください。
そして、よくやってしまうことが、フランチャイズ本部が作成してる損益シュミレーションをそのまま事業計画として提出してしまうことです。これはやめるようにして下さい。基本的にフランチャイズ店の実際の数字をもとに作成されているものだと思われますので、事業計画を作成する際の参考にはなりますが、フランチャイズ本部が作成した損益シミュレーションはかなり上手くいった場合の、業界平均を大きく上回るようなものになります。この本部の作る損益シミュレーションはあくまで理想になります。融資面談にて、その根拠の説明が求められますし、審査担当者も「こんな無謀な計画を本当に達成できるのか」と疑います。大きな売上は自分で自分の首を絞めることになりますので、注意してください。
要するに、フランチャイズが出している数字は参考にしつつ、来店客数の見込み、競合店の有無、事業モデルが現在も本当に成り立っているのかなどは自分の頭で考え、リサーチし、検討・算出する必要があるということです。
フランチャイズで融資を受けるなら日本政策金融公庫がおススメ
日本政策金融公庫は平成20年10月に国民生活金融公庫が移行して誕生した100%政府系金融機関で民間金融機関からの融資を受けにくい中小企業や個人事業を営む人を支援することを目的に設立されました。その為、民間の金融機関と比較すると、借りやすいのが最大の魅力になります。つまり、金利が低く、無担保・無保証で返済期間が長く借りる為、これから開業しようとしてる人にはもってこいの金融機関なのです。
日本政策金融公庫からフランチャイズで融資を受ける場合のポイント
前述でもお知らせしましたが、日本政策金融公庫では、「経営者の過去の経歴・経験」「自己資金」「信用情報」「創業計画書」の4つを中心に融資審査が行われます。それぞれについては以下よりご確認ください。
経営者の過去の経歴・経験
基本的に融資を受ける場合、同業種の経験が3年以上あると望ましいといわれています。例えば、10年以上居酒屋で働いた経験がある方が、経験を積みながら業界研究をしていくうちに、ある飲食店のフランチャイズに加盟することが最も成功確率が高いと判断した場合などは、審査においても説得力があります。
自己資金
融資の自己資金要件は、開業資金の概ね1/3程度があるかになります。自己資金は、ご自身の貯蓄の他、配偶者やお子さまの預貯金も自己資金として提示することが出来ます。また、どうしても自己資金が準備できない場合には、担保を提供することで融資が受けられる可能性を高めることが出来ます。フランチャイズで融資を受ける場合には、ある程度の資金力を提示することが融資成功のポイントになりますので、ご両親や親族からの資金援助なども検討してみると良いでしょう。
信用情報
信用情報とは、クレジットカードやローンの契約などに関する取引事実を登録した個人の経済的な信用を表す情報の事になります。「消費者金融から借り入れはあるか?」「消費者金融の返済は完了しているか?」「クレジットカードの返済遅延はないか?」など過去に問題があると公的融資は難しくなってきます。
個人信用情報を調査できる情報機関は主に以下の3つがあります。信用情報はご自身で開示請求できますので、不安な方は融資を受ける前に確認をしておきましょう。
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(JBA/KSC)
- 割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)
日本政策金融公庫で借入する場合、一般的に割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)で調べることが多いです。
創業計画書
創業計画書は、日本政策金融公庫で創業時の融資を受ける際に必ず提出する書類です。創業計画書には、経営者の方の略歴や、事業の見通しなどを記入します。事業の見通しは創業時と事業が軌道にのった後を記載するようになっていますが、きちんと事業計画書を作成し、添付書類として提出することをおすすめします。融資では、提出された書類の根拠を明確にすることが重要になります。どうして、その数字になるのかをしっかりと説明するためにも、現実的な数字できちんとした事業計画を作成する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?フランチャイズオーナーになる為に融資を受けるにはしっかりと準備しておかなければいけません。以下の事を参考にしてください。
- 融資先は日本政策金融公庫がおススメ
- 融資を受ける為には「経営者の過去の経歴・経験」「自己資金」「信用情報」「創業計画書」が大事
- 事業計画は、フランチャイズが出している数字は参考にしつつ、自分の頭で考え、リサーチし、検討・算出する必要がある