クリエイティブな起業への第一歩:広告代理店の開業と資金調達の方法
広告代理店は特別な資格は不要、初期投資も比較的少ないので開業するには簡単で、『独立開業』する方が多い業界です。
今回は、広告代理店での開業について解説していきます。
広告代理店とは?
広告代理店とは、広告を出稿したい企業と広告を掲載するメディアをつなぐ仲介のような役割で、広告主とメディアの間に立ち、双方に対してメリットを生むのが主な仕事です。
広告代理店業のビジネスモデル
ビジネスモデルは大きく「媒体収入」と「製作収入」にわかれます。
媒体収入
4大マスコミ(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)やWEBメディア(Google・Yahooなど)などの媒体社が決めている販売価格から手数料を引いて、媒体社に支払います。その手数料収入を媒体収入といい、おおよそは10~20%程度となります。
製作収入
CM製作やイベントなどの企画・実施を請負い、外注業者をコーディネートすることで受ける収入をいいます。
広告主や業界に対する深い知識や提案力、あるいは媒体への営業力がこの業界で生き残るためのポイントです。イベントでのプロジェクトマネージャーなどの得意分野を明確にした上でビジネスプランを作成し提案します。通信媒体はデジタル化、ブロードバンド化しており、その大容量や顧客セグメントにマッチした広告開発が必要になってきます。
広告代理店の種類
総合広告代理店
まずは総合広告代理店。学生に大人気、みなさんご存知の電通や博報堂は総合広告代理店に該当します。
総合広告代理店の特徴は、1つのメディア媒体にとらわれず、あらゆる種類の広告枠を扱うということ。先ほどの図にもあったように、新聞や雑誌、テレビなど、メディアの種類は様々な種類があります。総合広告代理店は、これらのメディアを網羅しているため、複数のメディアに横断的にアプローチをすることが可能です。
専門広告代理店
専門広告代理店は、総合広告代理店のようにあらゆる媒体を扱うのではなく、1つの媒体に特化した広告代理店です。
具体的には、新聞の広告枠を専門的に扱う広告代理店や、屋外広告を専門に扱う広告代理店、インターネット広告を専門に扱う広告代理店などがあります。それぞれ専門的なノウハウを有し、その広告枠で理想的な費用対効果を出すことに強みを持ちます。
広告代理業での開業に際して資格要件は?
広告代理店を開業するには特別な資格は必要ありませんが、一般的に広告に関連して下記の法規等があります。
- 消費者保護法:消費者が商品の購入や役務の利用で誤ることがないよう広告を規制する法規。
- 景品表示法:商品または役務の品質、規格等の不当表示、価格・取引条件の不当表示を禁止する法規。
- 屋外広告物法:景観の維持や危害防止を目的とした、屋外広告物に関する基準を定めた法規。
- (社)日本広告業協会が定める倫理綱領:広告業の社会的責任を果たすことにより豊かで文化的な社会づくりに貢献するための綱領。
そして、一般の企業の場合と同様、個人であれば税務署への開業手続き、法人であれば必要に応じて健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署にて手続きをする必要があります。
広告の種類
広告は、マス広告、インターネット広告、SP広告の大きく3つに分類できます。
マス広告
マスメディア広告の略で、「マス4媒体」と呼ばれるテレビ・ラジオ・新聞・雑誌に掲載される広告を指します。特定の視聴者や読者に向けて広告配信ができ、より多くの人に広告配信したいときに効果的です。
インターネット広告
ウェブサイトやアプリ、メール、バナー、動画などを用いて配信される広告です。対象者を絞って広告配信ができるため、費用対効果が高いと言われています。スマートフォンなどの普及により、近年急速に規模を広げています。
SP広告
セールスプロモーション広告の略で、消費者を購買行動へ動かす販売促進が主な役割とされています。マス広告にもインターネット広告にも分類されない、折り込みチラシや屋外広告、電車の中吊り広告、キャンペーン、フリーペーパーなどを指します。
急加速するweb広告
近年、広告の主流は従来のマス広告やオフライン広告からWeb広告へとシフトしており、その変化は年々加速しています。その変化の中で企業は、自社にとって最適な媒体に最適な方法で広告を出稿し、成果を上げることが求められています。企業においてもweb広告に対応できる専従者・部門(広告代理店含む)の立ち上げが求められています。
web広告の種類
一言で「Web広告」といっても配信先や方法、形式など多種多様な選択肢があります。従来のリスティング広告やディスプレイ広告はもちろん、動画やSNS広告など様々な手法の知識が必要になってきます。Web広告の種類や特徴については以下よりご確認ください。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
広告代理店を開業する際、初期投資も比較的少ないですが、扱う広告によっては、顧客に代わり広告費の先払いが発生する為、多めの資金を予め持っておく必要があります。特に大手企業の広告費は月に数百万単位で発生しますので、大手企業を顧客に持っていればなおさら資金は必要になってきます。
自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、広告代理店での開業の資金調達方法を中心に解説しました。
広告代理店業は特別な資格は不要で、初期投資も比較的少ない業種ですが、扱う広告によっては、顧客に代わり広告費の先払いが発生する為、多めの資金を予め持っておく必要があります。
そしてとても変化が激しい業界で、マスメディアからデジタルへ、広告からマーケティングへとシフトしていっている時代の変化もありますので、最新トレンドや知識、そして役割分担(営業・制作・分析など)が多岐にわたりますので、コミュニケーション能力が重要になってきます。