ハウスクリーニングでの開業の資金調達方法
ハウスクリーニング業界は成長市場として注目されている為、挑戦してみたいと思っている方は多くいらっしゃるでしょう。しかし、基礎知識や資金調達をはじめ、ハウスクリーニング店の開業前にはさまざまな準備に取り組む必要があります。
そこで今回は、ハウスクリーニングの開業に必要な基礎知識、必要費用、資金調達方法などについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもハウスクリーニングとは?
ハウスクリーニングとは、業務用の機材や専用の洗剤を使い、プロの技でご依頼のあった各所をキレイにする清掃サービスです。エアコンを使用し始める時期やカビの発生しやすい時期、来客を多く迎えるお盆がある8月や、年末の大掃除時期などで特に需要が多いです。また、水回りやガラス、ベランダなどの清掃の需要も定期的に発生しています。
ハウスクリーニングと家事代行サービスの違い
ハウスクリーニングと家事代行サービスは両者とも「家庭の掃除を代わりに行ってくれるサービス」ですので、同じなんじゃないかと混同している方も多いと思います。
違いとして・・・・
- 専門的なレベルで掃除がしたい場合はハウスクリーニング
- 日常的なレベルで掃除がしたい場合は家事代行サービス
サービス内容や使用している道具、料金も大きく違ってきます。
長年同じ家に住み続けていて汚れが溜まっている場合はハウスクリーニングなどに依頼し、一度徹底的に掃除してから、日常な掃除のメンテナンスを行う為に家事代行で様々な箇所を掃除するなどの使い分けがされることが多いです。
開業手続き
ハウスクリーニングを開業するのに特別な資格や免許は必要ありません。基本的に、誰でも独立開業することができます。
一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをします。
顧客にアピールする為には資格は役に立つ!?
対外的や技術面での信頼を得るためには、資格を取得しておくのも一つの手です。この資格が、開業後に集客をする上でも大きく役立つことでしょう。前述でもお知らせしましたが、単にハウスクリーニングを開業するだけなら、資格等は必要ありませんが、『きちんとした技術を持っている』をアピールして集客に役立てるためには、資格取得をおすすめします。ハウスクリーニング開業に役立つ資格としては以下になります。
整理・収納・清掃コーディネーター
NPO法人日本ハウスクリーニング協会が認定している資格のひとつ。清掃の指導ができるコーディネーター指導員と呼ばれる資格も存在します。
消臭クリーンアドバイザー
消臭クリーンアドバイザーもNPO法人日本ハウスクリーニング協会が認定している資格のひとつです。消臭クリーンアドバイザーになるためには、ハウスクリーニング士2級を事前に取得しておかなくてはいけません。その後、消臭などに関する講義を指定時間受け、修了後に資格取得という流れになります。
ハウスクリーニング技能士
公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が試験機関の国家資格です。NPO法人日本ハウスクリーニング協会が認定するハウスクリーニング士とは別物です。技能検定はハウスクリーニングの仕事をして働く人の能力を評価する試験なので、パート・アルバイトを含めて、1週24時間以上勤務し3年以上の実務経験がある人が受験する試験になりますので、確認しておきましょう。
開業形態
開業の形態は大きく以下の2つの形態に分かれます。
- 単独運営
- FC運営(フランチャイズ)
単独運営
単独運営は、自分一人、あるいは限られた人数で単独の店舗として運営していく方法です。単独での運営は、料金やサービス内容などを自分で決めることができるなど自由度が高いです。
但し、事業初期は知名度がないので、集客に苦労します。どんなに技術に自信があっても、宣伝をしなければ仕事が入ってきません。その為、自ら集客方法について考え、実践することが必要になってきます。
FC運営(フランチャイズ)
FC運営は、大手企業等のフランチャイズ加盟店となり、初期の集客は比較的容易です。本部で用意している技術研修を受けることができますので、まだ清掃技術に自信がない場合でも開業を目指すことが可能です。その他、技術研修だけでなく、開業に至るまでのサポートや、開業後に仕事の紹介を受けることが可能な場合もあります。集客に関しても、本部のほうで宣伝を行っていますから、自分自身で知名度を上げていくステップを省けるのは大きな魅力でしょう。
デメリットは、加盟店になると加盟費として開業時にまとまった資金が必要になったり、ロイヤリティの支払いが必要になることです。ロイヤリティの支払いが重荷になり、結果的に経営が苦しくなるというケースもあります。
ハウスクリーニングの開業に必要な費用
ハウスクリーニング店の開業に必要な費用を初期費用と運営資金について説明していきます。2つ合わせると500~700万程度は開業前に用意しておきたい金額になります。
初期費用
ハウスクリーニング店の開業に必要な初期費用は、おおよそ400~500万円程度になります。この費用は、一般規模の店舗を想定した場合の金額なので、あくまで目安のひとつとして参考にしてください。
- 物件取得費:200万円
- 車両費:100万円
- 備品購入費:100万円
- 技術習得費:20万円
- 広告宣伝費:10万円
- 合計:430万円
主な費用としては、物件取得費や車両費、技術習得費、備品購入費、広告宣伝費が挙げられます。
なかでも「物件取得費」は高額になりやすい費用ですが、ハウスクリーニング業は店舗に顧客を呼び込むビジネスではないので、それほど広い物件は必要ありません。仮に毎月の賃貸料が20万円のテナントを借り入れる場合、物件取得費の総額は200万円程度になります。ちなみに、自宅を事務所として活用すると物件取得費がかからないため、開業時の初期費用を大きく抑えられます。
開業資金のなかでは、「車両費」と「備品購入費」も負担が大きいコストです。特に備品購入費は、購入する設備や機材によって金額が大きく異なるため、その点も加味してビジネスプランを練らなくてはなりません。ケースによっては数十万円に抑えることも可能ですが、設備・機材のグレードが下がると提供するサービスの質も下がってしまうので注意しておきましょう。
そのほか、オーナー自身がスキルを習得するための「技術習得費」、顧客を集めるための「広告宣伝費」も軽視できないコストになります。技術習得や集客活動を省くと、ハウスクリーニング業では顧客を増やすことが難しくなるので、開業前にはこれらのコストもしっかりと確保しておくことが大切です。
運営資金
ハウスクリーニングの開業に必要な運営資金は、1ヵ月あたり約50~70万円程度です。
- 人件費:30万円
- 賃貸料:20万円
- 車両関連費:2万円
- 消耗品費・雑費:10万円
- 広告宣伝費:5万円
- 合計:67万円
主な費用としては、人件費や賃貸料、車両関連費、消耗品費・雑費、広告宣伝費が挙げられます。
なかでも「人件費」と「賃貸料」は、店舗の規模によって金額が大きく変動するコストです。たとえば、正社員を雇用する場合は1人につき毎月約25万円の人件費、大規模な物件を借り入れると毎月30万円以上の賃貸料が発生することもあるため、開業前には事業規模を意識しながらビジネスプランを立てましょう。
「車両関連費」には、車検代やガソリン代、駐車場代などが含まれます。こちらも車種や移動距離、開業エリアによって金額が変動するコストなので、その点を加味して資金計画を立てることが大切です。また、洗剤などを購入するための「消耗品費・雑費」や、集客活動で使用する「広告宣伝費」も忘れてはいけません。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
ハウスクリーニング開業の留意点
ハウスクリーニング店の開業に必要な留意点として以下が挙げられます。
請負業者賠償責任保険に入っておくことも検討
ハウスクリーニングはお客様のお宅に伺って作業します。細心の注意を払っていても、クロスを汚してしまったり、エアコンクリーニング中に部品が壊れてしまったり、思いもよらない作業中の事故が起きます。お客様から多額の修理代を請求されて、数ヶ月分の売上げが泡となって消えるとことがないように、保険に入っておくと安心です。
市場調査
ハウスクリーニング店の開業準備としては、まず「市場調査」が挙げられます。必要な調査はケースによって多少異なりますが、特に以下のポイントは入念に調べておく必要があります。
- ターゲット層が多いエリア
- 開業エリアにどのような競合があるのか
- ターゲット層からどのようなサービスが求められているのか
- どんな集客方法が効果的なのか
市場調査によって必要な情報を集めたら、その内容を踏まえてより良いビジネスプランを考えましょう。
店舗・機材
ハウスクリーニング店として開業するには、「店舗・機材」の2つを用意する必要があります。店舗については、立地や賃貸料を意識しながら、ビジネスの規模や内容に適した物件を選びましょう。
また、ハウスクリーニング業では高圧洗浄機や床洗浄機、金属ブラシなど、さまざまな種類の清掃機材もそろえなくてはなりません。機材によっては手配までに時間がかかりますし、顧客のもとへ向かう車両も用意する必要があるので、ハウスクリーニングの開業準備は早めに取りかかることが大切です。
まとめ
個人でもフランチャイズでも、ある程度の事業として行うには500万から700万の資金が必要になってきます。移動手段や通信機器など、ありあわせのものや中古品を使用し、開業資金を抑えれば早い段階で利益を上げやすくなりますので、予め事業計画書を作っておきましょう。