ドローン事業での開業や資金調達方法について解説
経済産業省も「空の産業革命に向けたロードマップ」というガイドラインを作成するなど、成長産業の一つとしてドローンを位置付けています。
今回は、ドローン事業での開業についてや資金調達方法をご紹介します。
スタートアップで注目を集めているドローン事業
ドローンと言えば、よくテレビ番組などの映像制作で、空撮されている映像を見る機会が一番身近なところかと思います。映像制作の分野ではかなり定着しているように感じますが、いま様々な産業でドローンが使われ研究開発されています。
例えば、商品などの無人配送、建設物などの点検、土地の測量、都市開発や災害時の調査など、業界内の人でも把握しきれないほど、多くの使われ方をしています。一つの産業で商品が実用化されれば、立ち上げたドローンスタートアップだけではなく、提供するためのアプリサービスや配信プラットフォームの構築、ソフトウェアやハードの整備など、派生したビジネスも広がる可能性を秘めています。
学ぶ場所としてドローンの専門学校もある
ドローン規制法の改正などルールは整備されながらも、マナーの悪いドローン飛行や落下事故などもいまだ後を絶ちません。その対策として、ドローンの正しい知識や操縦技術を習得するための専門学校も開校しています。より深い知識と高い操縦技術を身につけることができるため、ドローン操縦士になるには近道といえるでしょう。
国も積極的に支援をすすめており、国土交通省が認定しているドローン専門学校では、民間の操縦士資格を取得できるところもあります。このままドローンビジネスの実用化がすすんでいけば、今後はドローンの操縦士資格が国家資格化されるという日が来るかもしれません。
開業タイプ
機体メーカーとしての開業もありますが、初期投資負担が大きくなることが想定されるため、ここではサービス事業の開業を前提としてお知らせします。
各種サービス提供事業者
1つめはドローンを用いたサービスを顧客に提供する業態です。具体的には、農薬散布や映像制作、土木などの分野などの事業です。これらは既にある程度市場が形成されていますが、今後はさらなる活用分野の拡大が予測されています。
また、ドローン関連サービスとして、ドローン飛行のスクール業や、国土交通省等への申請代行業などを行う事業者も存在します。
機体販売の代理店業
ドローン機体メーカーの中には、販売代行を募集している企業もあります。そのため、実店舗、あるいはWeb通販で、機体メーカーの代理店として開業する業態も考えられます。実店舗を設立する場合は、ドローンスクールなどとの兼業も可能になります。
ドローンには規制や許可が必要
ドローンを操縦するために、免許や国家資格などは必要としません。しかし、ドローンを飛行させるには法律上のさまざまな規制があり、間違った方法で取り扱えば処罰の対象になることもあります。
航空法による規制や飛行広報の制限
ドローンを飛行させることができる空域は、航空法によって規制されています。また、飛行方法にもさまざまな制限があることを覚えておかなくてはいけません。ドローンの飛行でおもに規制されている項目は、以下の通りです。
- 地表または水面から150メートル以上の空域
- 人や家屋が密集している人口集中地区やイベント会場の上空
- 空港や原子力事業所、国の重要施設周辺
- ドローンで物を投下することや危険物輸送
- 日中(日出から日没まで)以外の夜間飛行や目視外の飛行
- 道路からの離着陸
- 電波法にふれる行為
また、2019年5月にドローン規制法の改正があり、東京オリンピックやラグビーワールドカップの開催に向けて大会会場周辺での上空が飛行禁止となりました。ドローンを扱う場合には、法改正による規制の変化を常に把握しておくことも必要なのです。
場合によっては申請も必要
法的な規制がかかっていなくても、飛行させるドローンの種類や飛行場所によっては、事前に申請が必要な場合があります。機体重量が200g以上の場合は、国土交通省への申請は必要になります。
逆に、禁止空域であっても国土交通省や管理者への事前申請をして承認を得ておけば、ドローンを飛行させることが可能な場合もあります。ドローンを扱うには、さまざまな規制があることから、操縦技術だけでなく深い知識も必要となるのです。
必要な手続き
ドローン飛行にあたっては、国土交通省への申請が必要となる場合が多いです。申請に不備があれば許可が下りるまで時間がかかってしまうため、なるべく早めに申請を行うことが推奨されます。
また、国土交通省への申請にあたっては、ドローンの飛行経験および飛行技術が必要とされるため、そうした技術を身につける期間も加味して事業計画を立てる必要です加えて、各自治体で規制が設けられているケースもあるため、サービスを開始する前にそうした飛行ルールを確認しておく必要があります。
そして個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
大切なのはどの産業に参入するか
上記でもご紹介しましたが、ドローンは映像や物流、移動、農業、建設、測量などあらゆる産業で活用の可能性があります。ビジネスチャンスとしてドローンを始めるにあたって、興味があったり、今ある知見や財産を活かせる部分があるなど特定の産業に絞ってビジネスを組み立てることが重要です。例えば、以下の目的は異なってきます。
- 映像制作であればきれいな映像を撮れるようになる
- 農業であればムラなく農薬散布できるようになる
- 測量であれば土地の起伏や地形なども正確に測れるようになる
横展開で応用できる場面もあると思われますが、まずは一つの製品や技術に突き詰めてビジネスにすることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、ドローン事業についてや資金調達方法をご紹介しました。
ドローンを使った新規事業・スタートアップは非常に増えています。開業するにあたり「どの産業に参入するのか」。参入するビジネス領域の情報収集と分析を行い、「いま自社の現地点はどこで、目的地はどこなのか」。目的に着くまでの「ロードマップ(スケジュール)と必要な資金調達や人材採用、研究開発内容」など、事業計画の構築はビジネスの成功に大きく関わってきます。